"3年の任期付き"でも教員経験者が殺到!鎌倉市が「市費で正規教員採用」に踏み切った訳 若手からベテランまで全国から123名が応募
(写真:鎌倉市教育委員会提供)
なぜ「3年の任期付き」にしたのか?
同市の2026年度予算は今回の採用人数を基に調整する予定だが、採用に伴う費用については、「一般論として中途採用は1名当たり約750万円必要だとされており、今回の採用では10名程度、将来的に最大で30名程度雇用することを想定して調整を図る」(小原氏)とのことで、総額2億円を超えるプロジェクトとなる。
鎌倉市教育委員会次長(学びみらい課担当)
新卒で文部科学省へ入省。学習指導要領(外国語)改訂や教育予算確保等を担当したほか、北海道の小学校で1年間の勤務経験も。その後、デロイトトーマツコンサルティングへ入社し、教育ビジネスチームの立ち上げに取り組み、経産省「未来の教室」事務局の運営等に従事。2024年から現職。鎌倉市での教育ビジョン策定や、寄付金を活用した探究学習支援の制度設計を担当
(写真:鎌倉市教育委員会提供)
市費負担教員の給与・待遇は神奈川県の正規の県費負担教員と同水準で、任期中も退職金の対象期間となる。また、地方公共団体の業務に従事する「一般任期付職員」の位置付けとなり、任期は3年で最長5年まで更新可能だ。任期を設定した理由を、小原氏は次のように説明する。
「ここは私たちも議論した部分ですが、近年は安定志向の雇用形態にこだわらない教員の方も増えています。今回応募される方は柔軟なキャリア志向の方が多いのではないかという仮説に基づき、さまざまな自治体で経験を積みたいというニーズに応えるために、3年の任期を設けました。
募集期間中にいただいた問い合わせでは、『任期付きなんですね』と落胆される声もありましたが、その一方で『正規雇用、かつ柔軟なキャリアにも対応してもらえるのはありがたい』との声もありました」
任期中に県費負担教員の採用試験を受けることもでき、直近の4年間に通算で1年以上の教員経験があれば、1次の筆記試験のうち、一般教養・教職専門試験は免除となる。
県費負担教員の採用試験に合格した場合、「配属先は県が決定するため鎌倉市への配属の確約はできませんが、臨時的任用教員が正規教員として採用された場合は当該自治体の配属となるケースが多く、それと同様に適切に取り扱ってもらえるよう神奈川県と調整したい」と小原氏は話す。
年齢も幅広く多様なキャリアの教員が応募
初年度となった2025年度の採用選考では、10名程度の採用予定人数に対し、123名の応募があった。公募にあたって連携した民間企業のエン「ソーシャルインパクト採用プロジェクト」リーダーの中林辰馬氏によると、「ほかの自治体における教員の応募実績と比べても反響が大きい」という。

















