なぜ「timelesz」はこんなにTVに出ているのか? 異例すぎる"出演ラッシュ"ブレークの裏側

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「タイプロ」を経て、現在のtimeleszには3通りのメンバーが揃うことになった。以前からグループに所属する3人、同じ事務所のジュニアだったが俳優としての活動を決断した2人、そして旧ジャニーズとは異なるルートから加わった3人である。

旧ジャニーズは、約60年に及ぶ歴史のなかで独特のエンタメ文化を築いてきた。その文化のなかでは、ジュニアを経てメジャーデビューする以外の道は基本的になかった。今回のtimeleszは、その仕組みに風穴を開けたと言ってもいい。

ただ、旧ジャニーズの伝統を否定しているわけではない。先ほど書いたようにオーディションの進めかたにはジャニーズらしさが見えていたし、俳優業に軸足を移していたジュニア出身の2人もメンバーとして加わった。その意味では、3通りのメンバーの存在によって、斬新さと安心感のバランスが絶妙に取れている。

ファンの間口が広がった理由

そして「タイプロ」がNetflixで配信されたことによって、ファンの間口も広がった。「タイプロ」が社会現象化した要因のひとつは、誰でもオーディションの様子を好きなタイミングで気軽に見ることができ、その結果世代を問わず視聴者を集めることができたからだろう。実際、ファンの年齢層はぐんと広がったように見える。

それによって、timeleszはこれまで以上にテレビ向きのタレントにもなった。

旧ジャニーズでは1990年代以降、SMAP、TOKIO、V6、KINKI KIDS(現・DOMOTO)嵐など多くのグループがテレビを活動の軸にしてきた。だがジャニー喜多川の問題や相次ぐグループの解散によって、先行きは不透明なものになっていた。

そうしたなかここにきて、timeleszがその歴史を引き継ぐ存在として急浮上してきた感がある。メンバーが旧ジャニーズ出身者だけではないという特徴が、ここでも効いている。

もちろん本人たちは、歌手としてのさらなる飛躍も思い描いているだろう。また、ネットの世界に活動の場を広げていく可能性もあるだろう。だが、新生timeleszが旧ジャニーズの伝統を発展的に継承するグループとしての道をまずは順調に歩み出したことは間違いない。

太田 省一 社会学者、文筆家

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おおた しょういち / Shoichi Ota

東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビと戦後日本社会の関係が研究および著述のメインテーマ。現在は社会学およびメディア論の視点からテレビ番組の歴史、お笑い、アイドル、音楽番組、ドラマなどについて執筆活動を続ける。

著書に『刑事ドラマ名作講義』(星海社新書)、『「笑っていいとも!」とその時代』(集英社新書)、『攻めてるテレ東、愛されるテレ東』(東京大学出版会)、『水谷豊論』『平成テレビジョン・スタディーズ』(いずれも青土社)、『テレビ社会ニッポン』(せりか書房)、『中居正広という生き方』『木村拓哉という生き方』(いずれも青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』(筑摩書房)など。

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