ブリヂストン、地味すぎる買収に込めた計略 トップシェアの市場をどこまで守りきれるか
最近では2012年に投資ファンドのゴアズ・グループによる買収が決まりかけていたが、業績悪化を理由に立ち消えとなったこともある。
その後、投資ファンドのギャムコ・アセットマネジメントがペップ社の株を徐々に買い増し、2014年度末には20%弱を握る筆頭株主となっていた。ギャムコは開く株主総会で、自社の推薦する数人の候補を取締役に選任するように要求、ペップ社は苦境に追い込まれていた。
ドル箱の米国はシェア争いが激しい
ここから事態は急転直下となる。ペップ社はギャムコの案を一部飲むかたちで、6月11日に3人の独立役員を迎え入れた。
同15日にはレンタカー大手、ハーツ社から新たなCEO(最高経営責任者)を招聘。同30日には身売りや提携など経営戦略の見直しを公表していた。
ブリヂストンにとって、今回の買収は渡りに船だったいえる。同社にとって、北米を含む米州エリアはドル箱だ。直近の2015年1~6月(上期)は全社の営業利益2377億円のうち、米州が1088億円(前年同期比30%増)を稼ぎ出している。
ただ、日本でのシェアが5割を超え、世界で首位のブリヂストンも、北米では仏ミシュランや米グッドイヤーとの激しい競争の中にある。
米国の専門ウェブサイト「モダン・タイヤ・ディーラー」によれば、2014年の乗用車向けタイヤ販売のシェアは、ブリヂストンとファイアストンの合計が15.5%、グッドイヤーが13%、ミシュランが9%となっている。
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