TTの再来…ではないアウディ「コンセプトC」が見せた「新しいアウディ」始まりの日

「ここまで徹底して削ぎ落としたデザインは、競合にコピーする余地を与えないでしょう」と、現行レンジローバーの発表時にマガバーンCCOが私に語ったのを思い出した。
では、もうひとつの注目点とはなにか。
クルマ好きの人ならピンときているかもしれないが、これまで話題を呼んできたアウディ車のデザイン要素を、うまく取り込んでいる点だ。
アウトウニオンからのデザインDNA
コンセプトCなる車名は、アウディの前身だったアウトウニオンが1936年に発表したグランプリマシン(レーシングカー)である「タイプC」に由来しているはず。

アウディ自身が、「タイプCにインスパイアされている」と発表しているぐらいなのだ。
特に顕著なのは、「バーティカルグリル」と呼ばれる新意匠の縦型フロントグリル。タイプCの特徴を生かしたものだ。

加えて、キャビン背後のリアセクション。アウトウニオン・タイプCでは、そこにポルシェ博士が設計した16気筒エンジンを搭載していた。
コンセプトCでは、リアに電動開閉式のタルガトップ(ポルシェ911タルガのように天井部分だけが開く方式)が収まるが、あえてリアセクションをより大型化し、デザインの特徴としている。
本当にこのまま市販するのだろうか……と思うのは、リアセクションにリアウインドウがなく、3つのスリットがある点。
コクピットからのぞくと、たしかに後方視界は確保されているものの、よくぞ思い切ったというデザインだ。

このデザインを守るなら、後方視界の確保にカメラの映像も利用するのかもしれない。同じフォルクスワーゲン・グループのランボルギーニが、「ウラカン・ステラート」で採用した手法である。
「1998年に発表した第1世代のTTも、デザインのDNAに組み込まれている」と、フラチェッラ氏。大きく感銘を受けたデザインなのだという。
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