TTの再来…ではないアウディ「コンセプトC」が見せた「新しいアウディ」始まりの日

「新しいデザインフィロソフィーは、アウディの抜本的な再構築の一環であり、アウディ全体にとって新しい始まりを意味します」
これはプレスリリースの文言だが、アウディが成功してきた要因のひとつがデザインにあることを踏まえてのものだ。
アウディを「感じる」デザイン
コンセプトCのデザインには、大きく2つの注目点がある。
ひとつは、「明快さの追求:Strive For Clarity」とされる、新しいデザイン言語を初めて採用したこと。
「装飾的な要素を削ぎ落としてアウディならではの美を創出することが、コンセプトCにおける重要なテーマでした」

ミラノでの発表の舞台となったのは、コルソ・ベネツィアの「ポートレート・ミラノ」という、もと大司教の神学校を改装した、イタリアならではのホテル。
そこで、チーフ・クリエイティブ・オフィサー(CCO)を務めるマッシモ・フラチェッラ氏は、インタビューに応えてくれた。
「チームの課題は、次世代のアウディデザインでした。私たちは、『アウディをどう感じてほしいのか?』と自問しました。感じるって難しいですよね。結論は、4つの原則でした。明快さ、技術、知性、そしてエモーション」

プレスリリース内にも、フラチェッラ氏の発言が引用されている。
「私たちにとって、技術は目的ではなく、進歩の手段なのです。私たちはそれを隠したり、誇示したりしたいわけではありません」
注目すべきは、コンセプトCのデザインが“削ぎ落とすこと”で、逆に大きく目を惹く特長を獲得している点だ。
実はフラチェッラ氏、アウディの前はジャガー・ランドローバーでヘッド・オブ・デザインを務めていた。
日本でも記事によく採り上げられるジェリー・マガバーンCCOとともに、「リダクショニズム」とうたった現行「レンジローバー」シリーズを手がけた実績をもつ。
リダクションも、やはり“削ぎ落とすこと”を意味している。
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