グラフ理論で解析する株式持ち合いネットワーク、市場の危機が波及しやすい理由

国や企業同士が密接なネットワークで結ばれた現代では、ある企業の不祥事や危機が市場全体に波及しやすいと言われる。そこで、日本企業の株式持ち合い構造のネットワーク解析を通じ、株式市場がなぜ「危機」に弱いのか、検証してみた。

グラフ理論で分析

現実世界にあるさまざまなネットワークを解析する方法の1つに、グラフ理論がある。グラフ理論では、人間関係や分子構造などのネットワークを以下のような点(ノード)と線(エッジ)で表現する。

 


■ネットワークの模式図

 

株式持ち合いのネットワーク構造を、「パス長(Path length)」「クラスター係数(Clustering coefficient)」の2指標を用いて調べてみた。

パス長とは「あるノードから別のノードにたどり着くまでに、どれだけのノードを仲介しなければいけないか」を示す値だ。模式図で言えば、A社からE社のパス長は2、B社からC社のパス長は3となる。ネットワーク全体の平均パス長が短いほど、あるノード(企業)に起きた「危機」が周囲に波及しやすいと言える。

クラスター係数は、「あるノードと直接つながっている2つのノード同士がつながっている割合」のこと。模式図では、D社と直接つながっているA、C、Eの3社について、C社とE社はつながっているが、他はつながっていない。この場合、Dのクラスター係数は1/3となる(Dとの直接のつながりはDA、DC、DEの3、A・C・E間での直接のつながりはCEの1)。ネットワークの平均クラスター係数が低いほど、特定のノードに集中的につながっているネットワークということになり、「危機」の分散化が難しいといえる。

 

マーケットの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • トクを積む習慣
  • ネットで故人の声を聴け
  • 本当に強い大学
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
消える仕事、残る仕事<br>1億人の「職業地図」

コロナ、AI、脱炭素――。私たちの雇用を取り巻く環境が激変しています。今後、どんな職業を選ぶかは死活問題に。2030年に向け「消える仕事」「残る仕事」36業種、「会社員の価値」がわかる9職種を掲載。本特集が職業を改めて考える機会になれば幸いです。

東洋経済education×ICT