スウォッチが「攻めの広告戦略」で大炎上して謝罪、なぜアジア人差別と受け取られかねない広告を出したのか

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マーケティングのコンサルティングを手がけるメタフォース共同創業者のアレン・アダムソン氏は「販売戦略担当者は行き詰まっている。包括性を高めるほど、ソーシャルメディアでの注目度が薄れてしまう」と語り、比較的若く広告の標的となる層に「刺さる」ように、より大きなリスクを背負いつつあると付け加えた。

損なわれるブランド価値

ところがそうした広告の賞味期限は短くなりかねない。また長期的にはブランドの評価を傷つけ、非白人の大規模な顧客層に背を向けられるかもしれない、というのが専門家の見方だ。

ニューヨーク大学非常勤教授で、ブランド戦略家としてティファニーなどと協力しているアンジェリ・ジャンチャンダニ氏は「アメリカン・イーグルがあのような広告を流せば、黒人からアジア系、中南米系に至る消費者を排除し、結果的に収益機会を逃している」と指摘した。

ジャンチャンダニ氏によると、今も米国の購買力を支配しているのは非中南米系の白人だが、他の人種の購買力も急速に伸びているという。

フランスの化粧品大手ロレアルの場合は今月、生活情報だけでなくアダルト系のコンテンツを配信する「オンリーファンズ」で活動するクリエーターと提携して作成した動画がやり玉に挙がった。

同社が掲げるソーシャルメディアのインフルエンサーとの提携に関するガイドラインでは、提携先はポルノなど不適切な分野に関与しない人物とする、と定められているからだ。

エルフの広告は、過去に家庭内暴力に関する冗談を言ったコメディアンを採用したためネット上で即座に猛反発を受け、同社が謝罪する事態になった。

ジャンチャンダニ氏はこうした企業広告について「決してうっかりではなく、承知の上で自社のブランド価値と相容れないと人物を起用している。避けられたはずの失敗だ」と苦言を呈した。

スウォッチやエルフはすぐ謝罪したが、アメリカン・イーグルは広告を取り下げていない。

同社のマーケティング担当バイスプレジデント、アシュリー・シャピロ氏はリンクトインへの投稿で、シドニー・スウィーニーとビデオ通話で協議した際に、幹部らが「どこまで攻めたいか」と尋ねたところ、スウィーニーはためらいなくニヤリと笑った上で「攻めていこう。是非とも」と答え、会社として「その挑戦を受けよう」と応じたことを明らかにした。

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