スウォッチが「攻めの広告戦略」で大炎上して謝罪、なぜアジア人差別と受け取られかねない広告を出したのか
口コミの拡散を狙った広告を最近打ち出した企業として挙げられるのは、アパレル小売りのアメリカン・イーグル・アウトフィッター、ドーナツチェーンのダンキン・ドーナツ、美容品のエルフ・ビューティーなどで、いずれもすぐさまソーシャルメディアで批判を浴びた。白人中心の美しさを追求している、あるいは不適切な分野に関係する有名人を起用している、と理由はさまざまだ。
アメリカン・イーグルの広告には、大ヒットドラマ「ユーフォリア」「ホワイト・ロータス」への出演で知られ、Z世代に人気の高い女優のシドニー・スウィーニーが登場。「jeans(ジーンズ)」と「genes(遺伝子)」をかけた広告だったため、遺伝的な特徴を人種的文脈でとらえている可能性があるとして非難された上に、トランプ大統領がこの騒ぎに乗って広告を「今一番熱い」と賞賛して「ウォーク(社会的正義を重視すること)は負け犬のものだ」と発言して一段と炎上した。
「日焼けは遺伝」
続いてダンキンは、夏の新作ドリンク「ゴールデン・アワー」の宣伝に俳優のギャビン・カサレーニョを起用して「日焼けは遺伝」と言わせたことが物議を醸している。
特に流行に乗って収益を稼ぐ企業が過激な広告に走る背景には、多様性・公平性・包括性(DEI)を巡る米政府の法規制運用が変化したことがある。
さらに包括性は、2020年に黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警察官から暴行を受けて死亡した事件をきっかけに多くの企業が販売・広告戦略の柱に据えてきたが、5年が経過してそうした考え方は強調されなくなっている。