「ポスト石破は石破」? 永田町の"風"が変わり始めたいくつかの状況証拠

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もっとも、参院選直後に立憲民主党の野田佳彦代表は「自民党政権に対してノーの意思表示を国民は示した」と述べた。国民民主党の玉木雄一郎代表も「約束を果たせないような石破政権と組むことはありえない」と言明している。

しかし野田氏の表現には、「国民がノーの意思を示したのは自民党政権であって、石破政権ではない」との解釈もできる。実際に立憲民主党は、8月5日に閉会した臨時国会で衆院内閣不信任案を出さず、石破政権を追い詰めてはいない。

日本維新の会の吉村洋文代表も「現時点で自民党と連立することは考えていない」と述べたが、共産党を含む野党の連携については難色を示した。そして同党は、国会議員団のトップである共同代表に藤田文武氏を選任し、自民党と近い遠藤敬国対委員長を再登板させている。

もともと自民党から派生した維新は自民党と親和性がある。「自民党のほかにもう1つ保守の塊を作る」が政治信条だった前原誠司氏は、共同代表時代に本年度予算に賛成した。時代が2大政党制ではなく小党乱立に入った以上、それに倣わざるをえないということだろう。

「ポスト石破は石破」となるか

石破首相が21日夜に開かれたTICAD9の夕食会で「大統領とか総理大臣とかやっておりますと、あんまり楽しいことはございません」とぼやいてみせたのは、余裕が出てきた証拠ではないか。石破首相の右腕である森山裕幹事長は辞意をほのめかしたが、自民党鹿児島県連会長の続投が決まり、影響力を残す見込みだ。

重要な点は「石破首相に代わるダントツの候補」がいない点だ。『AERA』が7月22~27日に行ったアンケートでは、「次の首相にふさわしい政治家」のトップに石破首相が輝いた。読売新聞が21・22日に行った世論調査でも、高市早苗・前経済安全保障担当相、小泉進次郎農水相に続き、石破首相が3位を占めた。なお、自民党支持層に限れば、石破首相は高市氏を抜いて2位につけている。「ポスト石破は石破」となる可能性は小さくないといえるのだ。

それでも「石破降ろし」は続くだろう。旧安倍派はかつての覇権の再現を期し、石破首相より2歳年長の茂木敏充元幹事長は少なくなってきたチャンスをうかがっている。端的な「石破嫌い」で知られる自民党最高顧問で政界最年長の麻生太郎元首相は、「最後の執念」とばかりに目を光らせる。

秋の政局は、これまでになく激しいものになりそうだ。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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