「ポスト石破は石破」? 永田町の"風"が変わり始めたいくつかの状況証拠

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8月6日の広島平和記念式典では、被爆歌人である正田篠枝氏の「太き骨は先生ならむ そのそばに 小さきあたまの骨 あつまれり」であいさつを締めくくった。9日の長崎平和祈念式典では、自身も被爆しながら被爆者の救護に尽力した永井隆博士の「ねがわくば、この浦上をして世界最後の原子野たらしめたまえ」という平和を願った言葉を引用した。

8月15日の全国戦没者追悼式では、第2次安倍政権以来、首相のあいさつから消されていた「反省」の文言を復活させた。あたかも安倍政治に対する決別のようにも映る。

そういえば石破首相は、昨年11月の所信表明演説や今年1月の施政方針演説で、「石橋湛山」を引用した。「小日本主義」を掲げた石橋湛山は、安倍晋三元首相の祖父の岸信介と対極にある政治家だ。

外交での実績づくりも着々と行われている。8月20日に始まったTICAD9(第9回アフリカ開発会議)では、「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」を発表した。23日に来日予定の韓国の李在明大統領は慰安婦や元徴用工訴訟についての日韓合意を尊重する意向を示しており、石破首相の追い風となるだろう。

29日にナレンドラ・モディ首相が来日予定のインドとは、「安全保障協力に関する共同宣言」を17年ぶりに改定し、半導体やレアアース、医薬品など6品目にわたる「経済安保協力イニシアチブ」を構築。両国の「中国依存」を減らすことが主な狙いだ。

少数与党に転落しても自民党が持ち続ける優位性

総裁選の前倒しについては、党の選挙管理委員会が8月19日に初会合を開いた。党則6条4項の「党所属の国会議員及び都道府県支部連合代表会代表各1名の総数の過半数の要求」を満たすかどうかを確認するために、総裁選を求める議員には書面をもって要求することを求め、その氏名を公表することを検討中とされる。

衆院議員の場合、実現されれば総裁選を求める議員にリスクが発生する。解散権は石破首相の手に握られており、総裁は公認権を掌握する。

そもそも自民党には、少数与党であっても「アドバンテージ」がある。“協力”の相手を選ぶことができる点だ。

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