ロボホン9年の知見と最新LLMが生んだ3万9600円の手のひらロボット、シャープ「ポケとも」の挑戦

手のひらにちょこんと乗る12センチの小さなロボットが、そっと首をかしげながら「こんにちは」と声をかけてくる。重さは200グラム。0.5ミリの深いフロッキー加工で、まるで生き物をなでているようなふかふかした感触だ。シャープが8月20日に発表した対話AIキャラクター「ポケとも」。ミーアキャットをモチーフにした丸みを帯びた愛らしい造形で、思わず頬が緩んでしまう。
「ポケとも」は、手のひらサイズのロボット本体と、スマートフォンアプリが記憶を完全共有する対話型AIサービスの総称だ。メインターゲットは20~30代の女性。「ぬい活」に代表される、ぬいぐるみを日常のパートナーとする世代に向けた製品である。

「動物園に行ったよ」と話しかけてみた。数秒待つと「楽しかった? どんな動物がいたの?」と自然な返答が返ってくる。動くたびに小さく「ぎゅん」というアクチュエータ音。これがまた愛らしい。
このポケとも、実は9年前にロボット電話「ロボホン」を世に送り出したシャープが11月に発売する新作だ。蓄積してきた知見と最新のLLM技術を組み合わせている。3万9600円という価格設定の裏には、おもちゃ量販店進出を見据えた計算がある。
ロボホンが教えた「持ち運べる」ことの重要性
「ロボホンを9年間展開してきて気づいたのは、愛されるキャラクター作りの重要性でした」。シャープ通信事業本部モバイルソリューション事業統括部の景井美帆統括部長は、ポケとも開発の背景をこう説明する。
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