日本はサンマが実質"獲り放題"になっている…「海水温上昇」「外国漁船」「暖水塊」よりも根本的な不漁原因

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漁獲量制限による資源管理は、経済的にも、資源を持続的にするという面においても非常に効果が高いのです。なお、この理屈はヒラメなど日本で約70種行われている稚魚放流でも同じです。

漁獲されなかった魚のおかげで資源が一時的に増えた例があります。2011年に起きた東日本大震災による放射性物質の影響で強制的に禁漁が実施されました。例年なら漁獲されていたマサバやマダラが漁獲を逃れて産卵できたのです。

そのおかげで生まれた稚魚が成魚になって産卵し資源が急回復しました。ところが漁獲を続けてしまいました。そして必然的に一時的に急増した資源は資源管理の不備で再び激減し、今では東日本大震災発生時より悪い状態になってしまいました。

また一時は激減していたクロマグロは、WCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)の国際的な資源管理が外圧で強化され、漁獲枠がようやく機能し始めたことで、資源は回復の兆しを見せています。漁獲制限をすれば、手遅れでなければ資源は回復するのです。

漁獲数量のごまかしは世界中で起きてきた

日本が資源管理をしても、中国の漁獲数量が信用できないといったコメントがよく出てきます。これからサンマをはじめ、他国と共有する水産資源に関し、国別の漁獲枠が国益をかけて交渉することが資源の持続性のために不可欠になってきます。その際には、漁獲枠の配分に関し、過去数年の実績がベースになるのが普通です。ですから実績を小さく見せることは交渉が不利になるだけなのです。

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