日本はサンマが実質"獲り放題"になっている…「海水温上昇」「外国漁船」「暖水塊」よりも根本的な不漁原因

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サンマ(写真:筆者提供) 

筆者は15年ほど前から、サンマをはじめ漁獲枠(TAC・漁獲可能量)が大きすぎて資源管理が機能していないことを指摘してきました。その前提には、北欧など世界の最前線から買い付けをして現場を見てきた知識があります。北欧・北米・オセアニアなど漁業を成長産業にしている国々にとっては、漁獲枠と実際の漁獲量が同じなのは「当たり前」なのです。

日本の大きすぎる漁獲枠は効果がない

資源管理に効果があるのは「数量管理」であり、「漁期」や「漁具」の規制は補助的役割にすぎません。数量が科学的根拠に基づいて決まれば、漁業者は魚の価値が高い時期に出漁したり、小さい魚を避けるように工夫したりし、経済合理性に基づいた行動をとります。決められた数量を漁獲するだけなので、日本のような「大漁祈願」といった発想は存在しません。

「今年こそは!」とか、解禁で「よ~いドン!」ではなく、出漁の数カ月前には何トン漁獲できるか決まっているのです。

ちなみにノルウェーサバ漁には漁期が決まっているわけではありません。また、サバとシシャモでは魚の大きさが異なるため、網目の大きさは違うでしょうが、網目の大きさによる資源管理の話題など聞いたことがありません。

何度も繰り返し発信したこともあり、ようやく大きすぎる漁獲枠には資源管理に効果がないことが、一部のマスコミ担当者などに理解され始めてきました。しかしながら、資源管理に関する国際的な「常識」が社会的に理解されない限り、獲り切れない枠が設定され続け、魚を獲り尽くしてしまう方向から逃れられません。

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