〈正念場〉鬼滅とのコラボで好調の伊藤ハムが、元・日本KFCのプロマーケターを抜擢! さらなる販促強化に乗り出す背景には“ある難題”があった

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豚肉と牛肉を使った「肉肉味」とチョリソーの「旨辛味」は、公式SNSで実施したアンケートでの得票率がそれぞれ4割前後だった(記者撮影)

“鬼滅旋風”を起爆剤に再び成長軌道に乗れるのか。

伊藤ハム米久ホールディングス(HD)傘下の伊藤ハムは、2025年6月から看板商品である「グランドアルトバイエルン」と、アニメ「鬼滅の刃」のコラボを実施。8月末までの期間限定パッケージで商品を展開し、キャラクターをイメージした新フレーバー3品を投入したほか、オリジナルグッズなどが当たる懸賞を実施したりしている。

ふたを開けてみれば、鬼滅コラボは効果てきめんだった。伊藤ハムによれば、コラボ実施後の6~7月は、100人当たり購入金額が前年同月比で2割超の増加となった。SNSでは「全種類買ってしまった」「鬼滅コラボ食べ比べした」などの声があがっており、新規購入者の獲得にもつながったという。

青木純一マーケティング部長は、「従来ならアニメコラボなど考えなかった。商品を手に取ってもらうことに力点を置いたキャンペーンに対する意識がこれまでは弱かった。今回のコラボを単発の花火で終わらせるつもりはない。増量キャンペーンを通じて、継続購入してくれるユーザーを育てる」と意気込む。

止まらない販売数量の減少

相次ぐキャンぺーンの背景にあるのが、止まらない販売数量の減少だ。伊藤ハム米久HDのハム・ソーセージの販売重量は、2021年3月期以降、5期連続で前年度実績を下回っている。

大型工場の稼働を控えている伊藤ハム米久HDにとって、販売数量の拡大は至上命題だ。同社は、約200億円を投じて静岡県三島市の食肉加工工場を建て替えており、2026年度後半の稼働を予定している。新工場稼働前に、ある程度の販売数量を確保しなければ、せっかく増強した生産能力もダブついてしまい収益率を落としかねない。

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