〈正念場〉鬼滅とのコラボで好調の伊藤ハムが、元・日本KFCのプロマーケターを抜擢! さらなる販促強化に乗り出す背景には“ある難題”があった

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そこで伊藤ハム米久HDが進めているのがマーケティングの強化だ。同社の関係者からは「テレビCMなどマス広告に資金を投じる一方で、店頭プロモーションなどの販促活動が弱かった」との声も聞こえてくる。

そこで販促活動の立て直しを図るべく、プロマーケターをヘッドハントした。今年4月、日本KFCホールディングスのCMO(最高マーケティング責任者)だった中嶋祐子氏を、伊藤ハム米久HDはマーケティング担当の常務執行役員に抜擢したのだ。

伊藤ハム米久HDの青木純一氏(中央右)とヘッドハントされた中嶋祐子氏(中央左)は、商品ラインナップ縮小と販売数量拡大の両立という難題を突き付けられている(記者撮影)

中嶋氏は、国内の広告代理店を経て、2012年にKFCブランドのフランチャイザーである「ヤム・ブランズ」グループのアジア部門に転職。その後、2018年に業績が悪化していた日本KFCホールディングスのマーケティング部長に就任すると、500円ランチや「今日ケンタッキーにしない?」など、日常使いを促すキャンペーンを推進し、V字回復を果たした。

「商品ラインナップを充実させて面で勝とうとするのではなく、戦い方を考えなければならない。これまでは商品数が多すぎて、商品ごとの販促活動が不十分だった」と中嶋氏は分析する。

全方位での販促がカギを握る

2025年6月に就任した浦田寛之社長は「加工食品、食肉の両事業ともに収益力を底上げしていく。加工食品については、低収益商品の入れ替えに注力し、現在の商品数1400アイテム程度を、2026年度に約1000アイテムへと集約していく」と決算説明の場で語っている。

しかしながら、大胆な商品ラインナップの縮小は、売り場を失うリスクをはらんでいる。そもそも食品メーカーは小売店の売り場に商品を並べてもらっている立場。「収益性が低いからといって、薄利多売のプライベートブランド品などの商品の生産を縮小すれば、小売チェーンから反発をまねき、他の商品の売り場面積まで減らされかねない」(複数の業界関係者)。

商品ラインナップを縮小しつつも販売数量を伸ばすという難題を乗り越えられるか。消費者だけでなく、小売店の関係者も惹きつける“全方位での販促活動”が、伊藤ハム米久HDの新体制には求められている。

本記事の詳報版は、東洋経済オンライン有料版記事「鬼滅とのコラボで好調の伊藤ハム・・・元・日本KFCのプロマーケターを抜擢した理由とは? さらなる販促強化に乗り出す背景には“ある難題”があった」でご覧いただけます。
佃 陸生 東洋経済 記者

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つくだ りくお / Rikuo Tsukuda

慶応義塾大学大学院法学研究科(政治学専攻)修了。2019年東洋経済新報社入社。過去に物流業界、不動産などを担当。現在は投資媒体「会社四季報プロ500」編集部に所属し、食肉業界も担当。

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