「コロナ世代は可哀想」と大人たちは言うが…映画『この夏の星を見る』などコロナ禍を見つめ直す作品が増える背景
『この夏の星を見る』に限らず、コロナ禍を見つめ直す作品は静かに増えている。
6月に公開された映画『フロントライン』もその1つ。こちらは国内で初めて集団感染が起きた、豪華客船での対応に当たった災害医療チームの奮闘を描いた。『この夏の〜』と同じく2020年が舞台だが、まったく違う視点から迫った意欲作である。
昨年は朝ドラ『おむすび』(NHK)で、病院で働く管理栄養士の主人公を通じてコロナ発生時の医療現場が描かれたことも記憶に新しい。2024年はほかに、新宿・歌舞伎町の病院を舞台にしたドラマ『新宿野戦病院』(フジテレビ)でも、コロナに似た未知のウイルス「ルミナ」が話の終盤にかけて登場している。
遡ると、コロナを社会状況とリアルタイムに近い形で登場させたのは、2021年新春に放送されたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』(TBS)だった。
『逃げ恥』特別編では、賛否の声も
この『逃げ恥』特別編では、新垣結衣演じる主人公・森山みくりが出産した直後、世の中がコロナ禍に突入。夫・津崎平匡(星野源)は、会社の人員不足で育休を返上して働くことになり、みくりは一度里帰りすることになるという、ドラマ版オリジナルのシビアな展開を盛り込んでいた。
言わずもがな支持の厚い『逃げ恥』だが、この特別編は放送後に賛否が飛び交っていたのも印象深い。ネガティブな感想の中には「現実と同じつらい状況を、好きな『逃げ恥』で見たくない」という声があった。そう感じた当時の視聴者にとって、進行中で終わりの見えないコロナ描写は「共感」よりも「痛み」になったのだろう。
それが今、コロナ禍を描く作品が増えてきた。ゆっくりと時間をかけて、当時が「過去」になりつつある。



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