「鉄道の町」どう活性化?高校生たちの斬新な発想 宮城県美里町、JR東は通勤ライナーで利便性向上

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次点に相当する「JR東日本小牛田統括センター所長賞」を受賞したのは清風南海高校(大阪府)。公園のSLと駅からやや離れた場所にある転車台を駅前に移設し、転車台の上にSLを乗せて展示する、鉄道資料館も併設するという提案を行った。

また、駅の近くにあり現在は使われていないNTTの施設を宿泊施設や観光案内所として活用する、廃校となった中学校を町の特産品であるバラ園にするというアイデアも出た。

次なる町の行動は?

存廃問題に揺れるJR芸備線の沿線にある広島県立三次高等学校からも生徒が単身で参戦してプレゼンを行い、第3位に相当する「美里町物産観光協会会長賞」を受賞した。

芸備線でも「高校生サミット」などさまざまなイベントを行い、沿線住民が団結するきっかけになったという。「自治体、住民団体、JR東日本が集まってアイデアや意見を交換するプラットフォームを作るとアイデアの実現に近づく。芸備線でできたことは美里町でもできる」とこの生徒は壇上で熱く語った。

全国高校生地方鉄道交流会
宮城県美里町で開いた「全国高校生地方鉄道交流会」の初日。全国から高校生らが集まった(記者撮影)

これらの発表を聴講した地元住民からは「よく調べている」「町民も知らないことが多かった」という声が聞かれた。相澤町長も「斬新なアイデアが多くびっくりした」と率直な気持ちを語った。一方で、後で聞いた話だが、「実現するとしたら一体いくらかかるんだ」「カシオペアを欲しがる自治体は全国にたくさんある」という否定的な声もなかったわけではない。

しかし、学生たちのアイデアが実行可能かどうかよりも重要なことがある。それは、このイベントを契機として美里町が次にどのような行動に出るのか、住民たちがどのような行動を起こすのかだ。

イベントをやってそれで終わりにしてはいけない。その意味で、今回の交流会は「全国の高校生から美里町への挑戦」といえる。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げ。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に定年退職後の現在は鉄道業界を中心に社内外の媒体で執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京交通短期大学特別教養講座講師。休日は東京都観光ボランティアとしても活動。

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