「鉄道の町」どう活性化?高校生たちの斬新な発想 宮城県美里町、JR東は通勤ライナーで利便性向上

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「週末の夜にゆったり座って帰っていただきたい。美里町に住んでよかったと思ってもらえるように作りました」と、JR東日本小牛田統括センターの渡邉和利所長が話す。首都圏で通勤ライナーという新たなマーケットが生まれたことから、仙台でも同様のマーケットが生まれるのではないかという期待がある。しかし、「乗車人員が減り続けているような地方路線で列車本数を増やすのは異例中の異例だ」として、導入までには社内で賛否両論あったという。

キハ110ラッピング車
特急「イブニングウェイ」に使用されるリクライニングシートのキハ110系レトロラッピング車両(写真:Yellow Magic/PIXTA)

渡邉所長は地元出身。子供の頃から沿線を走る列車を見て育った。「個人的には古き良き時代の風景を大事にしていきたいと思う。しかしノスタルジックな感情だけで鉄道を維持していくのは厳しい」。一方で、「人口が少ないなら少ないなりに打つ手はある」とも言う。それがイブニングウェイである。

全国の高校生招き「誘客」案募る

渡邉所長は「これは人口減少という地域が抱える問題に対してJR東日本が出した1つの答えです。言い方を変えればJR東日本から地域への挑戦状です」と話す。

利用者が少なければイブニングウェイは廃止となる。しかし、利用状況が好調ならほかの曜日も含めてもっと走らせようという展開になるはずだ。そうなれば美里町の小南主幹が話したとおり、通勤・通学手段としての利便性が向上し定住人口の増加につながる。「この挑戦状に地域は必ず応えてくれると信じています」(渡邉所長)。

そして次の展開が、冒頭で触れた中・高校生たち。美里町が招聘したのは全国高校生地方鉄道交流会というイベントである。主催者は一般社団法人全国高校生地方鉄道交流会。このイベントは2012年から毎年夏に全国各地で開催され、今年で14回目を迎える。「全国高校生」と銘打つが、中高一貫校の場合は中学生も参加している。「『鉄道のまち 美里町』の名を全国に浸透させ、他府県からの観光客をどのように誘客するのか、学生ならではの柔らかい頭で提案してほしい」と相澤清一町長が招聘の狙いを語る。

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