「鉄道の町」どう活性化?高校生たちの斬新な発想 宮城県美里町、JR東は通勤ライナーで利便性向上
交流会は鉄道を通じて高校生の社会性の向上・キャリアデザインの構築に寄与することを目的とするが、鉄道事業者や自治体にもメリットがある。2024年に伊賀鉄道をテーマに三重県伊賀市で開催された際には写真部門で受賞した生徒の写真が、市が発行するポケット時刻表の表紙に採用された。
今回の交流会は8月8〜10日の3日間、町内の会場で行われた。1日目は講演が主体で美里町やJR東日本の担当者から町の概要や鉄道との関わりについて学ぶ。2日目は、午前中は地元の高校生との交流、午後は自由行動で、各自が調査研究や写真撮影を行った。
そして3日目が本番だ。「うまく発表できなくても思いは伝わります。がんばりましょう」と交流会の大溝貫之代表理事があいさつし、全国から参加した10校によるプレゼンテーションが始まった。
最優秀賞は「星の街」をPR
各校が趣向を凝らして作成した資料がスクリーンに映し出された。1校当たりの持ち時間は8分。内容としてはSL観光列車の復活、地元の特産品を使った駅弁の開発といったものから、運行が終了した寝台特急「カシオペア」の車両を誘致して列車ホテルとして活用する、広い駅構内を活用して貨物駅として物流センターを作るというアイデアも出た。
すべての発表が終わり、相澤町長やJR東日本の渡邉所長ら5人の審査員による審査が行われた。なお、記者も審査員の1人として審査に加わった。
最優秀賞に相当する「美里町長賞」を受賞したのは成城中学校・成城高等学校(東京都)。空気が澄んでいて高層建築物が少ないという環境を生かし、「美里町を“星の街”として全国に売り出せばどうか」と提案した。

深夜、見晴らしの良い場所に列車を停車させ、車内から夜空の星を観察する、廃校となった中学校の校舎を宇宙関連施設にするといったアイデアだ。また、老朽化している町役場の建物を移転する際には駅前の空き地に移転させ、商業施設や保育所を併設し公共サービスを集約する。さらに現在は公園に静態保存されているSLの車両をこの施設内に移転させ屋内展示する、屋上は展望デッキとして車両基地や町の田園風景を一望できるようにしてはどうかという。
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