転職で収入ダウンでも「ビットコインで積み立て投資」 家計が火の車でも”投資は別腹”感覚でいる人たちの他人事と笑えない発想

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(2)無理な積立の停止

ビットコインの積立は長期的に大きく資産を増やせる可能性があります。ただ、毎月3万円の赤字のうち、2万円がビットコインの積立によるものでした。ボーナスや貯蓄を取り崩しながら投資するに足るような利益が出るのか不透明なため、状況が改善するまで積立を停止することを検討してもらいました。

(3)資産運用による収入増

余裕資金としての預貯金が300万円ありました。そこでそれを運用して得られる高配当・高分配金型のETFへ投資する提案をしました。

米国ETFですと、毎月分配型の商品が複数あります。保険見直し後の家計赤字である毎月2万円を解消するため、元手の300万円を活用してはどうかと筆者は考えました。毎月2万円の収入があれば、見直し対象となるビットコインの積立を継続できます。

これら筆者が考えた(1)~(3)により、家計赤字を解消して収支トントン、もしくは毎月黒字になる見込みでした。ところが、保険見直しに満足された小林さんは、それ以上の家計改善を望まれませんでした。

そのため、保険見直しだけで今回の相談は終了となりました。ちょっともったいないな……という思いが残りました。

家計赤字と金融リテラシーの切っても切れない関係

筆者は日頃多くの方から家計についてのご相談を受けていますが、小林さんは比較的改善点の多いと感じる方でした。

小林さんは保険の見直しについてはすぐに重要性を理解されたのですが、赤字にもかかわらずビットコインの積立で一発逆転を狙う発想から、金融リテラシーのアンバランスを感じました。

筆者の仕事柄か、ビットコインなど暗号資産への投資を検討される人は「高収入で新しもの好き」のタイプ、「家計が厳しくジリ貧」のタイプに分かれるように思います。小林さんは後者にあたります。

小林さんの場合、今の家計状況ですと今後の物価上昇にも耐えることができないでしょうから、早晩、赤字が拡大することが目に見えています。今回、保険の見直しだけで満足されてしまった小林さんですが、皆さんが同じような状況だとしたら、やはりもう一歩踏み込みで家計の黒字化を目指したほうがいいように思います。

まずやるべきことは何よりも家計改善、そしてその次に積立投資。それもビットコインなどではなく、伝統的資産である株式、債券やそれらに投資する投資信託を検討されることをお勧めします。

次回も、筆者のFP相談事例をご紹介いたしますので、楽しみにお待ちください。

(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)

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高橋 成壽 ファイナンシャルプランナー

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たかはし なるひさ / Naruhisa Takahashi

寿FPコンサルティング株式会社代表取締役。慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、金融系のキャリアを経てFPとして独立。お金を増やす、お金を守るという視点でFPサービスを提供。30代40代の財産形成、50代60代の資産運用、70代以降の相続対策まで幅広い世代に頼られている。「ライフプランの窓口」を企画運営。著者に『ダンナの遺産を子どもに相続させないで』(廣済堂出版)がある。日本FP協会認定CFP。

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