夏のインターン真っ盛り、そんな今こそ考えたい「就活は一斉」が象徴する日本型雇用の"大きすぎる弊害"

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文字どおりの「終身雇用」が約束されているわけではないのだが、長期にわたる雇用が暗黙の前提とされている。このため、新卒時の就職が決定的に重要であり、そこで抜け駆けのような不公平が起きないよう、すべての学生が同一のスケジュールで一斉に行動することになっている。

アメリカ型の就職活動が日本のそれと違うのは、卒業後の最初の就職が、日本のように特別の重要性を持っていないことだ。これは、その後何回にも及ぶ転職過程の第一歩にすぎない。最初に入社した企業に一生勤め続けるということは期待されていない。

即戦力を求めるアメリカ、求めない日本

雇用の仕組みに前述のような違いがあるため、企業が新入社員に何を求めるかについても、日本型とアメリカ型では大きな違いがある。

日本の場合、大学卒業者は即戦力として仕事をすることを要求されるわけではない。仕事のやり方は入社後に訓練される。その会社で必要とされる仕事を、その会社に独自の方法で行うことを、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を通じて教育される。そのため、新入社員に求められるのは即戦力ではなく、潜在的な能力であり、素質だ。

対してアメリカ型の場合、企業は新入社員に即戦力を求める。したがって、潜在的能力はもちろん必要だが、それだけではなく、企業が実際に行っている仕事を直ちに行える能力を求める。

こうした違いは、入社選抜で企業がいかなる指標を参照するかに違いをもたらす。

日本企業は潜在的能力を重視し、それを大学名によって判断している。対して、アメリカ型の場合には、卒業予定の(あるいは卒業した)大学名は重要な判断情報であるとはいえ、それだけでは十分でない。具体的な仕事に対してどの程度の遂行能力があるかが、採用に際しての重要な判断指標になる。

この違いは「学歴重視か、学力重視か」と表現することができる。「学歴」と「学力」は関連があるが、同じものではない。では、この2つはどこが違うのか。

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