中国のIT大手の中でも、テンセントは早くからロボット研究に力を入れてきた1社だ。創業者でCEO(最高経営責任者)を務める馬化騰(ポニー・マー)氏が直々に主導し、2018年にRobotics Xを設立。その後、さまざまなタイプのロボットの試作機を毎年のように発表してきた。

さらに2025年3月、馬氏はテンセントの決算説明会でRobotics Xの研究の方向性を大きく変えたことを明らかにした。ロボットのハードウェアよりも、クラウドやビッグデータなどテンセントの(本業で培った)強みを生かせる分野へと重点を移したのだ。
Robotics Xの研究チームは中国各地の60社以上のロボット開発企業を訪問し、各社が抱える悩みを調査した。その結果、エンボディドAI向けの複雑なAIモデルの構築に莫大な先行投資が必要なことが、開発推進の障壁になっていることが見えてきたという。
ロボット開発企業に選択権
テンセントのTairosは、上述の問題を解決するために構築したプラットフォームにほかならない。
「ロボット開発企業は、それぞれの得手不得手に応じて自由にモジュールを選択できる。例えば、自社の知覚行動モデルがテンセントよりも優れていると考える場合には、別のモジュールだけを利用すればいい」。前出の張氏はそう述べ、Tairosの利点と柔軟性を強調した。

Tairosは3つのAIモデルのほか、エンボディドAIの仮想シミュレーション、データベース、開発支援ツールなどのサービスをクラウドベースで提供する。
さらに将来は、ロボットを通じたデータの収集およびラベリング、アルゴリズムのトレーニングと検証、AIモデルをワンクリックでロボットに実装する機能など、開発者向けのサポートを手厚くしていく計画だ。
(財新記者:張而弛)
※原文の配信は7月28日
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