【データ検証】「外国人による治安悪化」は本当か?→インバウンドは明確に無関係…だが、労働者の属性次第では犯罪増加も

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それでもなお、「外国人住民の犯罪率は日本人より高いではないか」と指摘されることがあります。それは事実です。外国人の犯罪率は統計によりさまざまですが、おおよそ日本人の約1.5倍になっています。

しかし、この点を議論するには、いくつかの重要な背景を考慮する必要があります。

「若年」「男性」ほど犯罪率が高いのは世界共通

その1つが「属性」の問題です。一般的に、犯罪率は年齢と相関関係にあり、高齢になるほど低下する傾向があります。英国犯罪学会(British Society of Criminology)によれば、犯罪率が最も高くなる年齢層は18歳から30歳とされています。

さらに、犯罪率は性別によっても大きく異なり、男性のほうが女性よりも高い傾向にあります。例えば、FBIの2019年のデータでは逮捕者の72.5%を、イギリスの2023年の統計では78%を男性が占めていました(Statistics on Women and the Criminal Justice System 2023)。

これを踏まえて日本を見ると、国税庁の調査による日本人労働者の平均年齢が44.1歳であるのに対し、外国人労働者の平均年齢は32.8歳と非常に若いことがわかります。特に、技能実習生の平均年齢は27.0歳、特定技能資格では28.8歳です。

つまり、外国人労働者は、犯罪率が高くなりやすいとされる「若年層」「男性」という属性の割合が、日本人全体と比較して構造的に高くなっているのです。

外国人労働者をめぐる犯罪の問題は、突き詰めれば「どのような属性の外国人を、どの程度受け入れ、雇用するのか」という政策設計に起因します。

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