高福祉目当てのアラブ系移民まで子どもを産まなくなった! "少子化対策の優等生"フランスが人口減に転じそうな深刻事情の真実
さらに、政権交代に左右されないよう、継続的に超党派で取り組んできた点も重要だ。
例えば、フランスでは0歳から2歳までの子どもの17%が、国家資格を持つ保育士がいる保育園に預けられている。そして33%が、日本でいう「保育ママ(家庭的保育事業所)」に相当する母親アシスタントに預けられ、働く母親を支援している。
政府は、2015年のオランド政権時代から、母親アシスタントのスキル平準化のため、専門性重視の研修制度を実施しており、マクロン政権も踏襲している。保育士や保育園運営者、地方自治体の長や保育担当官、代議士、親などが、保育に関与するあらゆる人々にヒアリングを実施し、何を改善するかを判断している。
現在、フランスの家族政策の立案・実施・運営を行っているのは家族・児童・女性の権利省(通称、家族省)だ。これまで特命担当大臣の管轄だったのを2016年2月から省に格上げし、少子化や高齢化、女性問題に本腰を入れて取り組んできた。
欧州各国で進む少子化対策の現状
こうしたフランスの事例を参考に、欧州各国も少子化対策を進めてきた。
例えばスウェーデンでは、夫婦1組につき給与の80%が支払われる480日の育児休暇、手頃な保育料、フレックスタイム勤務を導入した結果、出生率が1.67人に上昇。今ではフランスと並んで、欧州で最高水準となっている。
さらに1980年代以降、「スピード・プレミアム」と呼ばれる家族政策が設けられ、第1子出産後すぐに第2子を出産することを奨励するようになり、第1子出産後30カ月以内に第2子が生まれた場合、両親は特別育児休業給付金を受け取ることができる。
人口流出を防ぎたいハンガリーでは、2020年から4人以上の子どもを持つ母親は税金が終身免除されている。議会は昨年4月にこの措置を2人以上の子どもを持つ母親にも拡大した。
国が保証する非常に多額の融資制度を採用し、子どもが1人いれば無利子、複数人いれば分割払いごとに減額され、3人以上の子どもがいれば元金の返済は不要。住居の増築に対しても財政援助が受けられるほか、家族用車両の購入に対して7000ユーロ(約120万円)の補助金が支給されている。
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