フランス公的債務危機はどんな顛末をたどるのか/ECBの救済は一筋縄ではない/最悪のシナリオは米国債危機への連鎖

公的債務危機と向き合ううえで最も危険なのは「今回は違う」と考えることだ——。
『国家は破綻する』でケネス・ロゴフとカーメン・ラインハートが示したこの考察は、現在のフランスにぴたりと当てはまる。フランスは公的債務が爆発的に膨れ上がり、政治危機に突入。エマニュエル・マクロン大統領が昨年6月に解散総選挙に踏み切って以来、退任を余儀なくされた首相の数は3人に上る。
対GDP比6%の財政赤字が続くフランス
控え目に言っても、フランスの財政は持続不能な道筋をたどっている。国際通貨基金(IMF)によると、是正措置が講じられない限り、フランスの財政はGDP(国内総生産)比で6%の赤字が続き、公的債務残高のGDP比は2030年までに128%に達する。2010年に債務危機が始まったころのギリシャと同等の債務水準だ。
フランス国債の利回りがすでに、重債務国であるイタリアの国債と匹敵するレベルに達しているのは、何ら不思議ではない。
フランスはユーロ圏で新たに財政をコントロールできなくなった国となったわけだが、ユーロ圏の一員であることから独自の金融・為替政策を打ち出して緊縮の痛みを和らげることはできない。
GDP比57%というフランスの公的支出は甚だしく高いレベルにある。反面、税率はすでに極めて高く、税収がGDP比で51%に達していることを考えると、税収の拡大ではなく、歳出カット以外に、財政赤字を減らす選択肢は現実には存在しない。
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