国内生損保、下期は運用多様化が加速 日米低金利で利ザヤ確保に苦心
[東京 22日 ロイター] - 国内主要生損保の2015年度下期・資産運用計画が出そろった。浮かび上がるのは、日米で低金利環境が続くなかで苦心するリターン重視のスタンスだ。日本国債の比重を落とす一方で、外債投資対象国の増加や、オルタナティブの拡大など運用多様化を加速させている。
一部生保は国内株を増やしているが、運用難を克服する決定的な「妙手」はまだ見当たらない。
「宝くじ」的な投資も
生損保の投資先が、円債一辺倒だったのは、もはや過去の話。円貨建て債券の代替としてのヘッジ付き米国債だけでなく、欧州国債や社債などへの運用多様化が進んでいる。ヘッジファンドや商品などに投資するオルタナティブと呼ばれる非伝統的な手法にも最近は積極的だ。
第一生命は、下期の運用方針を「低金利環境が続くと想定される中、国内債券以外の資産を機動的に組み入れ、インカム収益力強化を図るバランス運用を継続する」(運用企画部運用企画室長の渡辺康幸氏)とした。円債投資は横ばいで、クレジット投資や成長分野への取り組みを継続するとしている。
住友生命は、下期も外債投資の対象国拡大を継続する方針だ。これまで米欧豪を主な外債投資の対象国としきてたが、米豪の周辺国や、ユーロ圏の中心国以外の国などを対象に含めていくという。今年度は海外社債への投資を進め、海外クレジット資産を積み上げる方針も掲げている。
今年度当初は、米利上げが年内にも実施されるとの予想が多かったが、中国を発端とする世界経済の減速で、利上げ時期は後ずれ。米金利も思うように上がらず、下期は米国債以外への投資を増やすとするバイサイドも多い。
東京海上日動火災は下期、クレジットやオルタナティブへの投資を強化する。当初積み増しを予定していた外債投資は米金利が予想ほど上昇せず、積極投資を見送った。オルタナ投資では上期に、米未公開株などに投資。「期中の動き(収益)があるものではないが、10年でのトータルリターンは高い。宝くじ的な世界でもあるが、委託先のノウハウを活用する」(資産運用第2部次長の新川真也氏)としている。
長らく慎重だった日本株への姿勢にも変化が見える。三井生命は、国内株式を上期に100─200億円の規模で増やした。同社の松多洋一郎・執行役員運用統括部長は「企業業績の拡大やコーポレートガバナンス改革への期待から、株価についても強気にみている」と述べている。