"タイパ"の時代だからこそ《PR・営業》成功のヒントは「非効率思考」にあり? 心を動かすコミュニケーション術をPRのプロと文芸評論家が語る

✎ 1 ✎ 2
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

三宅:すごく分かります。私も、例えばnoteだと「月8本書く」と決めているんです。月に8本も書くと、普段は書かないことも入ってくる。そうなると「こういうのも意外と受けるんだな」と発見があって、またネタが広がっていく。

数をとりあえず決めてやっていくと、「自分の普段開かない扉が開く」みたいな感覚はありますよね。

三宅さん
三宅 香帆(みやけ かほ)/文芸評論家。1994年生まれ。高知県出身。京都大学大学院人間・環境学研究科博士前期課程修了。『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)、『「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない 』『12歳までに身につけたい 自分の「好き」をことばにできるノート』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)など著書多数(写真:松井雄希撮影)

「全部やらないと伝わらない」

黒田:三宅さんは、自らSNSやPodcast、YouTubeなどあらゆるメディアを使って発信されていますね。

三宅:今は、全部やらないと伝わらないな、と思っていて。やっぱり芸人さんやアイドルの方、ミュージシャン、若い世代に人気な方を見ていると、みなさん全部やっているんですよね。

発信するメディアが1つだけでいい人は、本当にトップの一握り。評論家の私は世間的な認知度がそこまでない以上、全部やらなきゃいけないな、と思います。

黒田:僕も、PRや営業って「どれをやるか」じゃなくて「すべてやってみる」、そして、うまくいったものを磨き上げていくことが重要だと思っていて。

著者さんによく「この番組とこの番組、どっちに出たほうがいいですか?」とか「新聞とラジオ、どっちに出たほうがいいですか?」とか聞かれたりするんですが、僕の答えは基本的に「どちらも出たほうがいいです。出られるものはすべて出ましょう!」なんです。

一度しか耳にしたことない曲は忘れてしまうけれど、あちこちで繰り返し耳にするからこそみんなが好きになってヒット曲も生まれるわけですから。

黒田さん
黒田 剛(くろだ ごう)/書籍PR。1975年、千葉県で「黒田書店」を営む両親のもとに生まれる。須原屋書店学校、芳林堂書店外商部を経て、2007年より講談社にてPRを担当する。2017年に独立し、PR会社「株式会社QUESTO」を設立。これまでPRを手がけた本には、累計150万部『つかめ!理科ダマン』(シン・テフン)シリーズ、累計70万部『妻のトリセツ』(黒川伊保子)シリーズなど。著書に『非効率思考 相手の心を動かす最高の伝え方』(講談社)(写真:松井雄希撮影)

三宅:黒田さんの本では、黒田さんが本のPRをするとき「相手の求めるものに応える」ことを大切にしている。その姿勢に一番グッときました。

黒田:たしかに、商品の説明ではなく、まずは「相手の求めるものに応える」ことから入るコミュニケーションというのは、僕が一番大切にしていることかもしれません。

なぜなら書籍PRを始める前に、書店外商の営業マンをやっていたんですが、新規契約が全然取れなくてドン底だった時代があったんですよ。

三宅:そうなんですか!

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事