【苦渋の決断】キユーピーが65年続いた育児食から撤退へ・・・市場は拡大傾向でも、赤字が続いた理由とは? 業界トップの和光堂は新市場開拓へ

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ただ市場が拡大する中、ここ数年は原料・資材価格やエネルギー費が高騰するなど、未曾有のコストアップにも苦しんできた。2022年と2024年には値上げに踏み切ったものの、足元では人件費や物流費の増加がさらなる追い討ちをかけている。

しかも、育児食を製造する鳥栖工場(佐賀県)ではラインの老朽化が進む。将来にわたって生産を継続するには大きな設備投資が必要だが、利益が出ない中では困難と判断。撤退の決断に至ったというわけだ。

業界トップは「幼児食」に照準

育児食の収益性で苦しむのはキユーピーだけではない。シェアで競合を圧倒する和光堂(アサヒグループ食品)でさえも、同様の状況にある。

和光堂の出荷金額は2024年に2017年比で28%増と、好調な売り上げを維持している。一方、和光堂を統括するアサヒグループ食品・マーケティング四部の高橋岳春部長は「育児食は原料の選定がかなり厳しい。多品種小ロット生産で、一般的な食品に比べ人手もかかる」と苦労を語る。

和光堂の新商品「ぱくぱくプレキッズ」は1歳半~2歳台を対象とした(撮影:尾形文繫)

そんな中、和光堂は新たな市場の開拓に乗り出した。7月7日には新商品「ぱくぱくプレキッズ」シリーズを発売。「さばの味噌煮」や「野菜たっぷり ハンバーグ」など7種類のラインナップをそろえた、1歳半頃からの子どもに向けた幼児食だ。

幼児食にはまだ競合が少なく、商機は大きい。離乳食で獲得した顧客が幼児食へそのまま流入するといったシナジーも狙える。こうした新たな需要を開拓するための試行錯誤が当面続きそうだ。

本記事の詳報版は、東洋経済オンライン有料版記事「キユーピーが65年続いた育児食から撤退へ・・・共働き世帯増加で市場は拡大傾向でも、赤字が続いた理由とは? 業界トップの和光堂は新市場開拓の動き」でご覧いただけます。
田口 遥 東洋経済 記者

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たぐち はるか / Haruka Taguchi

飲料・食品業界を担当。岩手県花巻市出身。上智大学外国語学部フランス語学科卒業、京都大学大学院教育学研究科修了。教育格差や社会保障に関心。映画とお酒が好き。

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