原価率50%近いの商品も! 銀座ウエストが78年愛される「不変の哲学」と「驚異の素材主義」の秘密

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この絶体絶命な状況も、普段から世話になっている職人さんがかけつけてくれ、3カ月後には営業を再開することができた。残念ながら、懐かしい写真や、1号目からすべてのしおりは全焼してしまったが……。

営業再開から3日間はすべてのお客様に無料で飲食を提供したところ、行列ができるほどになった。なんと太っ腹な友一氏は、無料期間を1週間に延ばしたのだという。

その後もリーマンショックの影響などは大きくなかったが、当然のことながら店の客足は銀座の景気に左右されてきたという。銀座の景気がいいときは、お店にも人があふれる。そういう意味では、インバウンド需要の多い昨今は景気がいいといえるそうだ。

昨今で最も危機的状況は、なんといってもコロナ禍だったという。「それこそ、お客さまが全然いなくなってしまったんですから。これはもうどうにかしなければ潰れてしまうと本気で心配しましたね。百貨店もすべて4カ月はクローズしましたし」と龍一氏。

そこで、どうにか策を講じなければと、eコマースによる販売を強化した。これまで箱売りしかしなかったものを、1個からバラ売りできるように変えた。すると、次第に売り上げが右肩上がりになり、何とかコロナ禍を乗り切ることができたそうだ。

これがまた、今となっては功を奏したことの1つで、eコマースの割合が増え(コロナ禍以降もそれほど下がらなかった)、全体としての売り上げも上がった。世の中の流れとして缶クッキーのブームもあり、バレンタインやクリスマスなどのスペシャル缶は大変な人気だそうだ。

2代目社長が振り返る2つの思い出

思い出に残ることを龍一社長に聞いてみると、2008年に改装した、支店の「青山ガーデン」のオープンの話が出てきた。

こちらはすべて龍一氏の感性で仕上げたものである。何か新しいヒット商品を作ろうと、ホットケーキをラインナップに加えたところ、今では来店客の3~4割は頼むというほどのスマッシュヒットになった。

ほかに、今ではいい思い出だそうだが、香港に出店したこともあったそうだ。3年ほどでうまくいかず閉店したが、楽しい経験だったという。「香港はその後、雨傘運動などが広がり、観光地としては厳しい状況に追い込まれたので、ちょうどよいタイミングだったのかもしれないです」と振り返る。

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