飛び交う"奇策"に水面下の神経戦が激化、参院選後の日本を動かす「政局のキーマン」がうっすらと見えてきた
そもそも、昨秋の衆院選で自公政権が少数与党となった段階で、本来なら野党の政権奪取が可能だった。しかし、選挙後の11月11日に召集された特別国会の冒頭で実施された衆院での首相指名選挙では、決選投票も含めて主要野党がそれぞれ自党の党首に投票した。
そのため、結果的に過半数を得られなかった石破首相が続投するという「奇妙な結末」(自民党長老)となり、先月に通常国会が閉幕するまで少数与党による“迷走国会”につながった。
約7カ月間の少数与党下での国会運営を振り返ると、石破政権は先の通常国会で大きな課題だった2025年度予算案や重要法案について、その都度、一部野党との連携で成立させ、通常国会の法案成立率は98.3%と、これまでの与党優位の国会運営と変わらない成果を挙げた。
ただ、法案ごとに野党と調整することの難しさなどから、与党内には「同じことをもう一度やれと言われても無理」(自民党の国会対策担当者)との声も相次ぐ。そこで参院選前に自民党内で浮上してきたのが、参院選後は連立の枠組みを変えることによって少数与党から脱却するという策だ。
一部野党の取り込みによる政権維持戦略だが、「その組み合わせは極めて多様で混迷必至」(自民党長老)との指摘が多い。立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、さらには参院選の結果次第で、「自民より保守」とされる参政党や日本保守党も連立の対象となる可能性があるからだ。
政治理念や政策より重要な「連立工作」のカギ
加えて、過去の連立工作の実態を振り返ると、政治理念や政策の整合性より“人脈”の有無がカギとなったケースが少なくない。その観点で考えると、まず石破首相や森山裕幹事長ら現自民党幹部との“相性”のよさが指摘されるのは、立憲民主党の野田代表だ。
野田氏はもともと財政再建重視派で、先の通常国会会期末も首相経験者として「国益優先」を理由に、土壇場で内閣不信任決議案の提出を見送るなどを、石破氏らがひそかに評価しているからだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら