ヤマトはガンダムを超える? 劇場とDVDを同時展開

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高価なソフトが売れて劇場にもメリット

近年になって『復活篇』や、“キムタク”主演の実写映画版などが製作され、ヤマトビジネスが再始動した。実写版が老若男女、幅広い層を狙ったものとしたら、今回の『ヤマト2199』は往年のヤマトファンをターゲットに据えている。そもそも新しい物語ではなく、最初のテレビシリーズを現代風にアレンジした“新解釈”版で、基本ストーリーを踏襲しつつ、ファンならニヤリとする細かい設定変更が随所に施されている。「ファンの好評価が世間に広がっていけばよい」と、郡司氏は期待を寄せる。

ところで、ソフト販売や配信が同時に行われることで、劇場には悪影響が出ないのだろうか。同作品を上映する松竹では、「同時販売のソフトは劇場に足を運んでもらわないと買えない限定品。一般での販売は上映から1カ月半後なので影響は小さい」(黒田康太アニメ調整室長)と言う。配信に対しても、「劇場の大きなスクリーンと家庭のテレビ画面では比較にならない。むしろ配信やソフトで見てもらって面白いと感じてもらえれば、次回作以降、劇場に足を運んでもらえる」と、むしろプラス要因ととらえる。劇場限定の高価なソフトが売れれば劇場の収入も増える。もちろん、リスク管理も行っている。むやみに上映館を増やさず、当面は全国10館に限定した。上映期間も2週間と決めている。

70~80年代に人気を博したヤマトの中核ファン層は40代以上とみられる。自由に使えるおカネは若年層よりも多い。このため、劇場に足を運んでもらい、しかも趣向を凝らした限定版ソフトを同時に買ってもらうというスキームが成立する。ファン心理を巧みに突いたこのマーケティング戦略には前例がある。ほかならぬガンダムである。

 

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