「医学部に行かないのならお金は払わない」親の呪縛で計10年に及ぶ浪人・留年を経験した彼の孤独な苦悩

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この年も私立の医学部を7〜8校受けて全敗だった水木さん。しかし、予備校を移ったことで、勉強のやり方がわかるようになったことが大きな収穫であったそうです。

3月31日、補欠合格の電話が…

「東大螢雪会に行ったら、勉強の方法がわかるようになるだろうという期待をして入ったのですが、本当にその通りになりました。英語・数学・小論文などの各科目で受験のプロの先生や大学院の学生についてもらって、手取り足取り教えてもらえました。勉強計画も組んでもらえて、『この模試では範囲がここまでだから、ここまでやりましょう』と丁寧に教えてもらえたことで、模試のために勉強して、成功体験を積むということができました」

4浪目でも東大螢雪会に通った水木さんは、6〜7月の化学の模擬試験で満点を取ることに成功し、初めてE以外の判定であるC判定を獲得します。

直前期にはE〜D判定くらいに落ち着くも、自分の適性と出題傾向を吟味して私大を選んだ水木さんは、自信を持って5回目の大学受験に臨みました。

「この年も7〜8校の私大を受けたのですが、東京慈恵会医科大学、東邦大学、昭和大学は適性があっているのでチャンスがあるなと思い、重要問題集を繰り返したり、十何年分の過去問を繰り返したりして対策して臨みました。

ただ、この年もどこの大学からも正規合格はもらえませんでした。僕としては『もうこれ以上頑張れない』という感覚があって、ファッションブランドにアパレル店員として就職しようと思い、3月30日の新入社員の飲み会に顔を出したくらいです。そうしていたら翌日の13時くらいに東邦大学の医学部から補欠合格繰り上がりの電話がかかってきて、『ああ、終わった』と、憑き物がとれた気分になりました」

その3〜4時間後には帝京大学医学部からも補欠合格繰り上がりの電話がかかってきて、ギリギリのタイミングで2校の合格が決まり、4浪で東邦大学医学部に進学を決めました。

長くつらい受験勉強の日々の果てに、東邦大学医学部に合格した水木さん。しかし、入学してからの生活についても「入学者数の最下位で入った人間だから、大学に入ってからも確実に最下位になると思った」と語ります。

4浪終了直後の水木さん
4浪終了直後の水木さん(写真:本人提供)
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