値下げ論議の当て馬?格安スマホの視界不良 大手が値下げすれば、生きる道は消えかねない
同研究所の吉本浩司所長によれば、8月までの半年間でMVNOのユーザー数は約2倍に増加。楽天やDMM.comの健闘が目立っているという。また、20代の男性や40代女性の契約が増加し、データだけではなく音声通話もセットになったサービスも伸びているようだ。総務省の指導でSIMロック解除が進み、大手キャリアの接続料も 下がってきていることが背景だ。
実は、この格安スマホの存在が、総務省の値下げ論議の発端になったともいえる。首相周辺は「実際に安い価格でサービスをしている会社がある。下げようと思えば下げられるはず」という風に考えたとしても不思議ではない。その意味では、数%とはいえども一定のシェアを獲得した格安スマホの存在は、大手通信事業者を牽制する、文字通り"当て馬"の役割を果たしたといえる。
そのことを当事者達はどのように考えているのだろうか。
総務省で有識者会議が開かれたのと同じ19日、MMD研究所はメディアを対象とする勉強会を開いた。集まったのはNTTコミュニケーションズ、接続業者ビッグローブ、関西電力が全額出資する通信会社ケイ・オプティコムの担当者。各社ともにMVNOサービスを手がけている。顧客情報などが登録されたSIMカードを独自に提供し、端末とのセット販売も行っている事業者だ。そこでは各社のホンネを聞くことができた。
違う点はキャリアメールの有無だけ
スマホは高いとして敬遠してきたユーザーの受け皿になっているとの認識を示したのがビッグローブ第二営業本部の二宮可奈マネージャーだ。同氏は「MVNOは安かろう悪かろうと見られがちだが、サービスの中身として大手通信会社と大きく違う点はキャリアメールの有無だけ」と強調した。
ITリテラシーの高い30〜40代の男性だけでなく、もともと固定回線でビッグローブのネット接続を契約していた層のうち、節約を考える40代の主婦や高齢者からも「安いならスマホを使ってみたいとの問い合わせが増えている」と、手ごたえを感じているようだ。
NTTコミュニケーションズのサービスで、マツコ・デラックス出演のCMでもおなじみの「OCN モバイルONE」の生みの親である岡本健太郎氏(ネットワークサービス部販売推進部門の担当部長)は来年度に向け、契約時の本人確認にマイナンバー制度を活用する意向を示した。利便性向上による顧客層の拡大が目的だ。
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