値下げ論議の当て馬?格安スマホの視界不良 大手が値下げすれば、生きる道は消えかねない

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ケイ・オプティコムのモバイル事業戦略グループの津田和佳グループマネージャーは、関西を基盤とする同社が関東の顧客獲得でも健闘していると説明。総務省における値下げ論議に関連して「安倍首相が『格安スマホはいいね』と言ってくれれば、もっと広がる」と期待感を示した。

津田氏は「格安スマホは災害時すぐにシャットアウトされるイメージがあるが、(論議の中で)総務省などにそういうことはないと言ってもらえればありがたい」とも述べた。通常のスマホと比較して劣ったイメージのある「格安スマホ」のブランド力アップに期待しているようだ。

各社とも追い風を感じているものの、今後の課題として意見をほぼ一致させたのは、「低料金だけでは競争をしのげない」という点だ。安いのは当然、との見方がすでに支配的な中で、利用者との距離を縮めることが重要になってきているようだ。

大手キャリアが大幅に値下げをすると?

ビッグローブの二宮氏は「MVNO間でも特徴のないサービスは負けてしまう。顧客が望むものにきちんと対応しなければ」と強調。「安かろう悪かろう」イメージの払しょくだけではなく、顧客ニーズをくみ上げるためにも量販店などでの接点を拡大する意向だ。

NTTコミュニケーションズの岡本氏も、今後のカギは価格面での訴求ではなく、顧客との「リアル接点でのアプローチ」だと説明。大手キャリアと住み分けるポイントは「さまざまなニーズに対して特徴あるサービスを提供することに尽きる」と語った。

「総務省での論議を経て大手キャリアが大幅に料金を下げてしまえば我々の存在意義はなくなる」(ケイ・オプティコムの津田氏)との危機感をバネに、安さにとどまらない新しい価値を提案できるかどうか。今後は、その知恵比べになりそうだ。

駅 義則 東洋経済オンライン編集部

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えき よしのり / Yoshinori Eki

1965年、山口県生まれ。1988年に時事通信社に入社し、金融や電機・通信などの業界取材を担当した。2006年、米通信社ブルームバーグ・ニュースに移ってIT関連の記者・エディターなどを務めた後、2015年9月に東洋経済オンラインのエディターに。現在の趣味は飼い主のない猫の里親探し

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