「本を出しませんか?」→「なぜか1000万円も自分で払う羽目に…」 中小企業の社長がハマる「自費出版」の"落とし穴"
こうした有料枠を買うことのデメリットは、3つあります。
ひとつは、そもそも見ている人がかなり少ないということです。
ある独立局の社長対談番組の放映時間は26時です。ビジネスパーソンの多くは、そんな時間にテレビを見ていません。
私のクライアントのひとりが、まさに私への依頼前にこのビジネスに引っかかっていました。「大枚をはたいたのに、知り合いで見たという人はいなかった。ネットで見られることもほとんどなかった」と嘆いていました(その後、私のPRコンサルティングによって、ニュース番組に何度も取り上げられるようになりました)。
2つめのデメリットは、それなりの中小企業の経営者が見れば、すぐに「有料枠での出演」とわかることです。こうした有料枠を販売するPR会社は、かなり幅広く営業をしています。もしあなたがSNSなどで「テレビに取材されました!」とアピールしても、その投稿を見る他の経営者のところにも営業している可能性が極めて高いのです。そんな裏事情を知っている他の経営者は「金を払って出たのに、自慢しているよ」と、冷ややかに見るのではないでしょうか。
有料枠を買うのは自らテレビ出演のチャンスを断つリスクもある
3つめのデメリットは、テレビ業界の関係者が見れば、有料枠を買った経営者だと一目瞭然となることです。「私は、テレビに出たいのに、高額の料金を払わないとテレビに出られない二流の経営者です」と、自ら逆の方向にPRしているようなものです。
そんな中小企業の経営者に、ソニーやホンダ、ソフトバンク、ファーストリテイリングといった日本を代表する企業のトップが出演する番組の制作者が、出演依頼をしようと思うでしょうか?
有名番組の制作者に「二流の経営者」と見られてしまうこのデメリットこそ、じつは「一流」を目指すうえでの最大の問題となります。
なぜなら、中小企業がメディアを利用して「一流」と見られるようになるには、いくつものメディアに出ることが不可欠だからです。いくら有名な番組でも、さすがに1回出ただけで「一流」と思われるほど甘くはありません。
それなのに、自分から逆方向のPRをしてしまっていると、少し調べれば有料番組に出ていることがわかるので、メディア出演を狙っていく際の足かせになりかねない、というわけです。
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