社員は全員反対に回ったが・・・ロングセラー「ぽぽちゃん」生産終了決めた玩具メーカーが挑む大変革 3年越しで生まれた“執念の新商品”とは?

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しかし、遊ぶのは子供でも、実際に商品を選んで購入するのは親。アニメのような顔、大人目線で可愛い洋服、コンパクトサイズ――。競合品が増える中、親好みの人形が選ばれるようになり、売れる条件は次第に変化していった。

厳しい競争にさらされ、ぽぽちゃんの売り上げを維持していくためにも、大人の好みに寄せたり、流通業者と交渉して店の棚を確保したりすることに追われるようになった。ピープルが大事にしてきた子供本位のおもちゃ作りは、いつしか業務の中心ではなくなっていた。

撤退を決断した背景には、中堅メーカーならではの危機感もあった。

玩具業界では、技術の進歩性が求められる特許を取ることは難しい傾向にあり、斬新な商品を出しても、他社が人気キャラクターを使った似たような商品をすぐに作れてしまう。キャラクター分野で強くないピープルが生き残るためには、他社が簡単に作れず、価格競争に陥らない新商品の開発が最重要課題となっていた。

世界中の1歳児を観察して開発

ぽぽちゃんの生産終了を決め、社内では、子供の好奇心を深掘りする新規事業に取り組み始めた。組織体制や評価制度も大幅に変更。一部の社員は去っていき、社員数は1割ほど減ったが、「残っている社員は、自由に挑戦することにやりがいを感じている」(桐渕氏)という。

5月に発売された「1curiosity(ワンキュリオシティ)」シリーズ。量販店に置く場合は動画での説明などを行い、商品の魅力を伝える工夫を凝らしている(撮影:梅谷秀司)

その新規事業の第1弾として3年がかりで開発された新商品が、5月に発売された「1curiosity(ワンキュリオシティ)」シリーズ。ポイントはサイズから色、素材までデザインのすべてが、世界の1歳児を観察した結果に裏付けられていることだ。

1歳頃は、家の中にある日用品に関心を持ち遊びたがる時期に当たる。19カ国、75組の家庭の様子を調査して、子供がどの日用品で遊び、なぜそれに惹かれるのかを掘り下げていった。

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