「身代金」「初動対応」、"KADOKAWA事件"の教訓 凄腕ホワイトハッカーが語る日本企業への警告
今回の事件が世の中に知らしめたこと
――KADOKAWAがサイバー攻撃の被害を受けてから2カ月近く経ちますが、今も完全復旧には至っていません。
GMOサイバーセキュリティbyイエラエ GMOサイバー犯罪対策センター局長 福森大喜氏(以下、福森) 今回は身代金を一部払ったと報じられているが、攻撃者から(暗号化されたデータを)復号するための鍵は戻らず、情報も公開されてしまった。自分たちでゼロから復旧しないといけないから、時間はかかるだろう。
KADOKAWAの事件は世の中に対して、1つの教訓となった。報道が正しければ、今回身代金で5億円近くを払ったのに、データは戻っていないわけで。身代金を払ったところで、それだけの見返りがないということを多くの人が知ったのではないか。
数億円を払って一か八かの賭けに出るというのは、分の悪いギャンブルのようなもの。割に合わないだろうって、冷静に考えればわかる。でも慌ててパニック状態になると「もしかして自分はこのギャンブルに勝つ確率があるかも」「戻る可能性が少しでもあるなら試してみたい」と思いがちだ。
攻撃を受けた場合、身代金の要求にはこういう対応をする、社内のサーバーはこういう手順で復旧し、どの部署が動くようにする、などといったシミュレーションを日頃から行っておくことが重要だ。