KADOKAWA「サイバー攻撃」が示した経営リスク セキュリティの難題に日本企業はどう向き合うか
「今回のサイバー攻撃を最初に許してしまったことは非常に反省すべきだ。もっと早く、さらなるセキュリティ強化をすべきだった」
出版大手のKADOKAWAが、ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)を含む大規模なサイバー攻撃を受けてから約5カ月。11月7日に行われた2025年3月期第2四半期決算説明会で、夏野剛代表執行役社長CEOはサイバー攻撃の判明後初めてメディアやアナリストの質問に答え、悔しさをにじませた。
標的となった「ニコニコ動画」などは約2カ月にわたって停止し、収益柱である出版事業の出荷体制や経理機能を管理する基幹システムなどにも影響が広がった。
一部ではKADOKAWAがハッカー集団に身代金を支払ったと報じられ、不正取得された約26万2000人分の個人情報がダークウェブ上に流出。漏洩した個人情報がSNSでさらに拡散されるなど、事態は一時混迷を極めた。
アニメ・ゲームが好調で被害影響をカバー
同日発表された決算によると、サイバー攻撃によるマイナス影響は第2四半期(2024年4~9月期)までにほぼ出尽くし、売上高で75億円、営業利益で46.5億円の押し下げ要因となった。
もっとも、KADOKAWAの事業自体はいたって順調だ。テレビアニメ「【推しの子】」2期など人気作の放映が続くアニメ・実写映像事業や、ゲーム事業の「エルデンリング」の追加コンテンツなどが好調で、2024年4~9月期累計では増収増益を維持した(ニコニコサービスのクリエイターへの補償金や調査復旧費用などの特別損失計上により、最終利益は減益)。
通期では、攻撃を受ける前の期初に掲げた計画とほぼ同水準の、売上高2717億円(前期比5.3%増)、営業利益163億円(同11.7%減)での着地を見込む。「エルデンリング」などを手がけるゲーム子会社、フロム・ソフトウェアへの約26億円のストックオプション費用を除けば、通期でも増収増益となる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら