蔚来汽車は2025年の通期の販売目標を44万台に設定している。だが、1~3月期の販売実績はその10分の1に満たなかった格好だ。2025年4月には3つ目のブランド「蛍火虫(Firefly)」の第1号モデルを発売したものの、先行きはまったく楽観できない。

マルチブランド戦略のつまずきは、財務基盤が脆弱な蔚来汽車にとって致命傷になりかねない。決算報告書によれば、同社の粗利益率は2024年10~12月期の11.7%から、2025年1~3月期は7.6%と1桁台に低下した。
資金繰りは綱渡りだ。同社には2025年3月末時点で260億元(約5181億円)の現金および現金同等物の残高があったが、同じ時点で流動負債の総額が流動資産を上回り、株主資本はマイナス(債務超過)に転落した。
債務超過を増資で解消
それを解消するため、蔚来汽車は香港市場で第三者割当増資を実施し、40億3000万香港ドル(約737億円)の調達に成功した。しかし目下の水準の赤字が続けば、再び債務超過に陥るのは時間の問題だ。
「蔚来汽車は2025年内に、さらなる資金調達が必要になるだろう」。野村証券は6月4日に発表した調査レポートでそう予想した。

こうした苦況にもかかわらず、蔚来汽車の創業者である李斌・董事長兼CEO(会長兼最高経営責任者)は強気の姿勢を崩していない。
「5月に年次改良を実施した蔚来ブランドの主力車種のデリバリーが始まり、6月の販売は大幅な回復を予想している。これまでは(年次改良前の)旧モデルの在庫を処分価格で販売していたため、粗利益率も目に見えて改善するだろう」
李CEOは1~3月期の決算説明会でそう述べ、2025年10~12月期に黒字化を達成する目標は変えないと強調した。
(財新記者:余聡)
※原文の配信は6月4日
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