「全国の指導案をシェア」するサイト、元教員が考案"多忙でも授業準備を可能に" 教員の多忙と孤立の打ち手に「共有」の選択肢

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せんせい市場のユーザーページ
ユーザーページには、アップロードした教材や指導案の一覧と、いいね数などを示した「ステータス」が表示される。アイコンをイラストにしたり、名前をペンネームで登録することも可能

「私がつくりたいのは、全国の授業アイデアが集まり、自分の授業が評価され、そして互いにブラッシュアップされるプラットフォームです。教員が短時間で上質な授業を準備できるようになれば、より多くの時間とエネルギーを子どもたちに注げます。忙しい教育現場でも、当たり前に子どもたちに質の高い教育を届けられる、そうした社会を目指しています」

法的問題はクリア、残るは投稿のハードルを下げること

とはいえ、教材や指導案は教員のアイデンティティに深く結びつくものだ。ゼロから教材を作るやりがいが失われはしないのだろうか。素朴な疑問に対して水野氏は、「本当に授業を面白くしようと思ったら、他人の力も借りたくなるものです。ゼロから生み出すのはプロや得意な人がやればいいですが、一人ひとりの子どもたちを思い浮かべてそれをアレンジするのは、それぞれの先生にしかできません」と説明する。

せんせい市場にアップロードされた教材
アップロードするファイルは「指導案」「スライド」「プリント」「その他」の4つのカテゴリに分かれる。画像は、「スライド」としてアップされた「中学1年 顕微鏡の使い方」

模倣は創造の第一歩になりうる。「せんせい市場」は、発想の転換を促す場としても機能しているようだ。

「指導案が集まるプラットフォームがあれば、若手教員はもちろん、ベテラン教員もたとえば新カリキュラムが出た際などは参考になるはずです。実際、『探しても見つけられなかった指導案があって嬉しい』などの声が届いています。指導案を通じてほかの教員の授業観が可視化されたことで、同じ単元でも多様な進め方があるという発見もあるようです」

【教科の選択】:国語、算数、数学、社会、理科、生活、英語、音楽、図画工作、体育、美術、技術、家庭、道徳、総合、特活、教科なし(全ても選択可能)

せんせい市場
教科は、国語・算数・数学・社会・理科・生活・英語・音楽・図画工作・体育・美術・技術・家庭・道徳・総合・特活・教科なし(全ても選択可能)から選択できる
(画像は東洋経済撮影)

【学年の選択】:小学1年〜中学3年(「全て」も選択可能)

せんせい市場の検索画面
画像では「算数」を選択しているため、小学1年〜小学6年の中から選択する
(画像は東洋経済撮影)

【単元の選択】:学年、教科ごとに選択(「全て」も選択可能)

せんせい市場の検索画面
画像は中学3年の「英語」を選択した場合の単元の選択肢。この場合は「受動態(受け身)、現在完了、文型、いろいろな疑問文、不定詞の構文、分詞、関係代名詞、仮定法」の中から選択できる
(画像は東洋経済撮影)

しかし、壁もあった。その1つが教材や指導案の投稿数だ。著作権や個人情報の取り扱いに対する不安から、投稿する側に「本当にアップロードして大丈夫?」と心理的ハードルがあったという。そこで、投稿時に丁寧なチェック項目を設けたほか、個人情報などを隠せるサイト独自の編集機能を開発した。さらに、運営サイドでサイト内を常時回遊し、掲載物の不備をチェック。利用者からの報告機能も整備済みだ。

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