時間外勤務が約半分に、守谷市の「週3日5時間授業×教科担任制×部活動改革」 支援人材も市費で積極採用して教員の負担軽減

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茨城県守谷市では、2019年度より独自の学校教育改革を実施し、週3日5時間授業の「守谷型カリキュラム・マネジメント」をはじめ、教科担任制や部活動改革など、さまざまな角度から教員の働き方改革を推進してきた。限られた教職員数の中で質の高い学びを保障するために、公立校はどのような工夫ができるのだろうか。守谷市教育委員会参事の古橋雅文氏に取材した。

市内すべての小中学校で「週3日5時間授業」を導入

2020年度から順次スタートした新学習指導要領。守谷市では、その全面実施に向けて議論を進めていた当時、英語の教科化などに伴って、クラブや委員会を含めると小学4年生以上が週5日6時間授業になり、児童と教員の負担が増えることが懸念されていたという。

その負担軽減のために導入されたのが、2019年度の「第一次学校教育改革プラン」で示された「守谷型カリキュラム・マネジメント」だ。すべての市立小・中学校の小4から中3において、月・水・金曜日の週3日は5時間授業に変更したのである。

授業時数を補うため、夏休みの8月下旬に5日間の夏季授業を行い、3学期制を2学期制に移行して始業式や終業式の日にも授業を実施。休日だった創立記念日や県民の日にも授業を行うこととした。

守谷市教委参事の古橋雅文氏は、「標準授業時数は確保できることをしっかりと示したことにより、教職員からも保護者からも大きな反発はなかった」と話す。放課後児童クラブも5時間授業になる日は開始時刻を繰り上げ、大きな混乱はなかったそうだ。

古橋雅文(ふるはし・まさふみ)
守谷市教育委員会参事
1992年茨城県藤代町立(現取手市立)中学校の理科教員となる。その後、県内小中学校、在外日本人学校にて勤務。2014年より取手市教育委員会指導主事、2018年守谷市立の中学校教頭、2019年より守谷市教育委員会副参事、教育指導課長、2022年守谷市立の小学校校長、2023年より現職。2019年開始の守谷市教育改革推進に携わり、「学習効果の最大化」と「教職員の働き方改革」を両輪に改革を推進中
(写真:守谷市教育委員会提供)

これにより、小4から中3の学期中の授業時間数は1週当たり2時間15分~2時間30分減少した。この取り組みは好評で、導入後のアンケート調査では児童生徒の84%が「放課後が充実しているし、ゆとりもできた」と回答。具体的には、趣味の時間や友達と遊ぶ時間、宿題や家庭学習をする時間などが増えたとの回答が多かった。保護者からも「夏休みが1週間短くなりありがたい」とった声も聞かれるという。

また、小中学校の教職員の66%が「働き方改革に有効」と評価した。とくに大きな効果が見られたのは小学校で、2018年度には61時間だった時間外勤務の月平均時間が、2019年度には34時間へと5割近くにまで減少した。

「『夏休みが約1週間短くなるよりも、学期中の日々の時間外勤務が1~2時間減るほうが負担感は少ない』と受け止めた教員が多いようです。導入2年目の2020年度は、コロナ禍の休校明けに一時的に週5日6時間授業に戻したことがあったのですが、教員からは『毎日6時間授業だとこんなに大変なのか』という声も聞かれ、週3日5時間授業が負担軽減につながっていることを改めて現場の先生方が認識したのだと思います」

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