新学期の子どもの「しんどさ、苦しさ」への対処法

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4月は変化の多い季節だが、新しい学年や学校に進む子どもにとっても「試練のとき」となるかもしれない。ストレスの多いこの時期ならではの困りごとや、周囲の大人が気を付けるべきことはあるか。これについて詳しく話してくれるのは、スクールソーシャルワーカーの鴻巣麻里香氏だ。生きづらさを抱える人々の居場所「KAKECOMI」の運営も手がける同氏は、「休み明けの自死や不登校の種は、新学期のタイミングですでに蒔かれている」という可能性を指摘する。

経済基盤が脆弱な家庭は「詰み」、相談急増する1~3月

福島県でスクールソーシャルワーカーとして働きながら、しんどさや生きづらさを感じる子どもと大人に寄り添う鴻巣麻里香氏。日頃からさまざまな相談に乗っているが、春先は1年のうちでもとくに注意すべき時期だと感じている。

「子どもの発達は本来、ゆるやかでつながりのある曲線で進んでいくものです。しかし4月になると『高校生になったんだから』とか『6年生ならできる』とか、進学や進級を境に、大人によって急激にスイッチされてしまう。新学期は多くの子どもが、何となくしんどいな、疲れるなと感じやすいシーズンなのです」

鴻巣麻里香(こうのす・まりか)
KAKECOMI発起人・代表/精神保健福祉士
福島県スクールソーシャルワーカー
1979年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科在籍中に従事した精神科病院関連施設でのボランティアを機に、ソーシャルワーカーとして悩みや心の病を抱えた人のサポートを行う。自身の幼少期には、母が外国籍であることを理由にいじめにあった経験も。多様性と弱さを受け入れる地域社会づくりを目指し、災害被災者支援等を経て非営利組織KAKECOMIを立ち上げ、サードプレイス「まかない子こども食堂たべまな」やシェルターの運営を通じて貧困や虐待、いじめなどに苦しむ子どもと家族への支援に取り組んでいる。著書に『思春期のしんどさってなんだろう?あなたと考えたいあなたを苦しめる社会の問題』(平凡社)、共著に『ソーシャルアクション!あなたが社会を変えよう』(ミネルヴァ書房)がある
(写真:鴻巣氏提供)

さらに鴻巣氏は、4月になる前の段階で、すでに困りごとが生じている家庭もあると続ける。

「1月から3月にかけて、とくに経済基盤が脆弱な家庭からの相談が急増します。進学などに関するイレギュラーな出費が多く、貯蓄額がそれに耐えられなければ即座に『詰み』となる。家計の面でヤングケアラーになる子どももいます」

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