浦和ルーテル学院小、「青山学院大学の系属校化」で人気上昇中の変化と不変 12年一貫のギフト教育で都心からも志願者増

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埼玉県さいたま市にある浦和ルーテル学院小学校が人気上昇中だ。前身である聖望学園小学校が、埼玉県内で初めてのミッションスクールとして設立されたのは1953年のこと。以来「キリスト教信仰に基づくこまやかな教育」「歴史ある私立学校」といった評価を受け、主に県内の家庭に支持されてきたが、ここにきてその状況が変わりつつあるという。最大のきっかけは2018年に青山学院大学と系属校協定を結んだことだ。近年の受験動向や教育の特色について、校長の福島宏政氏に詳しく聞いた。

志願者は従来の3倍以上、系属校化で「期待値」上昇

小中高の12年一貫教育を掲げる埼玉県の浦和ルーテル学院は、2018年7月、東京都渋谷区に本部を置く青山学院大学と系属校協定を結んだ。これにより同学院では、19年度の小学校入学者、つまり30年度の高校卒業生から、条件を満たす希望者は一定の枠内で青山学院大学へ進学できることになった。この協定締結を発表して以降、浦和ルーテル学院小学校の志願者数は大きく伸びた。校長の福島宏政氏に具体的な数字を聞く。

「75人の定員に対して、例年100人前後で推移していた志願者数が、20年度入試では約250人になりました。さらに協定を結んだことが周知されてきたためか、翌年には370人ほど、今年も350人と増加傾向が続いています」

また、出願者の居住地域にも変化が生じている。

「それまでは、東京都内から通う児童は全体の5%ほどで、あとはほとんどが埼玉県内のご家庭でした。それがこの3年で約30%に増えています。中央区や渋谷区から通っているお子さんもいます。受験者数全体では都内在住者の占める割合はさらに高いですね」

青山学院や学習院の初等部、立教などの小学校を目指す家庭が、浦和ルーテル学院小を併願校にするパターンも出てきているそうだ。福島氏は「やはり東京都内の難関校を目指すご家庭のお子さんは、幼児教室など専門機関で訓練を受け、学力以外の点でもしっかりとしつけられているお子さんが多いと感じます」と言う。1クラス25人の少人数制教育を重視している同校では、定員を増やすという選択肢も現実的ではない。当然、人気の上昇は単なる競争率の激化だけでなく、入試問題の難化にもつながってくる。

「幼児教室に行きなさいと言いたいわけではありません。しかし小学校入試で合格できる知識・技能は、ご家庭や日常生活の中だけで身に付けるのが難しいもの。訓練を経た受験者が増えれば実際問題として、やはり同等の受験対策をしていないと合格レベルに達することができなくなると思います」

現状の人気は想定していた範囲だったのだろうか。この問いに福島氏は、謙虚さと自信の両方をのぞかせた。

「今はまだ期待値で評価していただいている状態で、正当な評価が下されるのはこれからだと思います。系属校になった年の入学者が大学進学する31年になってやっと、本当の実績が明らかになるわけです。しっかり結果を出していくことで、評価をもっと上げていきたいと思っています」

「サブスク」ではできない、個性を伸ばすギフト教育

現在は中学校・高校でもそれぞれ入試を行っている同校だが、小学校での入学者希望者が増えれば、今後は途中から入学することが難しくなると予想される。それでも浦和ルーテル学院小が定員増を考えないのは、学院の基礎となる教育方針「ギフト教育」のためだ。これは才能・共感・世界貢献・自己実現という4つの要素でサイクルを構成し成長を促すもので、同校ではそのためにさまざまな取り組みを行っている。

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