倍率13倍、新設3年「農大稲花小」が超人気な訳 つねに高倍率、都会のど真ん中の意外な学び

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東京農業大学稲花(とうか)小学校が東京・世田谷区に開校したのは、記憶にも新しい2019年のことだ。23区内の私立小学校として59年ぶりに新設された話題の学校だったが、前評判にたがわずその台頭ぶりは目覚ましい。設立初年度の入試から定員を大きく上回る志願者を集め、一挙に超人気校に躍り出た。4年目となる22年度の入試でも、72名の定員に対して志願者数は962名に上り、約13倍の競争率を記録している。まだ3年生までの児童しかいない新しい小学校が、これほどの人気を集める理由は何なのか。同校の夏秋啓子校長に聞く。

「初年度倍率12倍」注目を集めた教育の気になる中身

東京農業大学稲花小学校は、2019年に誕生した新しい小学校だ。東京・世田谷区の閑静な住宅街に位置し、東京農業大学(以下、東京農大)および東京農大第一高等学校・同中等部に隣接している。約130年の歴史を持つ同大の学園化構想の総仕上げとして、満を持しての開校だった。21年現在、在籍する最高学年児童は3年生。真新しい校舎の最上階はまだほとんど使われておらず、新5・6年生がやって来る日を待っている。

開校初年度の19年には72名の募集人員に対して延べ865名が受験した。2回の試験を重複して受験している子どもも多いが、延べ人数では「12倍」という高倍率となった。受験機会が1回となった最新の22年度入試でも人気は衰えず、同じく72名の定員に962名の志願者が集まった。競争率は約13倍だ。都心では小学校受験をする子どもが増えており、倍率は全体的に上昇傾向にある。だが、ここまでの人気は学校としても想像していなかったという。同校の校長の夏秋啓子氏は、当時の驚きを次のように振り返る。

「私自身、長く東京農大で研究を続けてきました。その分『東京農大がつくる小学校』に対してどんな方が興味を持つのか、客観的なイメージが湧きにくい部分があったのです。初年度からの予想以上の人気に、ご家庭から本校への大きな期待を感じました」

校長の夏秋啓子氏。「生命科学は子どもの好きな分野。初等教育にもなじみがあります」と語る

農大稲花小の教育には、大きく分けて4つの特徴がある。まず1つ目は、1年生から毎日英語科のカリキュラムがあることだ。授業は英語を母国語とする外国人講師が英語のみで行い、現代社会で求められるコミュニケーション能力を培う。今、小学校受験の志望校選びで英語教育を重視する家庭は多く、保護者の支持を集める大きなポイントとなっている。

2つ目には、食育を意識した給食が挙げられる。東京農大と関連のある生産者の食材を使ったり、国内外の多様な食文化を取り入れたり。生きた教材となる多彩なメニューが、毎日校舎内の厨房で調理されている。

とくに共働きの家庭にうれしいのが、3つ目の特徴である「農大稲花アフタースクール」だ。放課後を安全かつ有意義に使える登録制のシステムで、ほぼ100%の児童が登録しているという。延長すれば19時まで滞在可能で、希望者はサッカーやピアノなどのプログラム(有料)も受けることができる。

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