注目浴びる「路面電車」、実は非効率だった!

全国のLRT導入ムードに暗雲も

表3は営業収支だ。極論ではあるが、いかに遅く、事故が多かろうと、儲かっている限り、路面電車は安泰に違いない。そうした観点で見ていくと、意外な結果が得られた。

路面電車全体の2012年度の営業収支は、営業収益240億4777万7000円、営業費用267億2903万2000円であったため、26億8125万5000円の営業損失を計上している。全国18の軌道経営者中、営業利益を計上したところは富山地方鉄道(軌道整備事業者である富山市の営業収支を含まない)、京福電気鉄道、岡山電気軌道、広島電鉄、とさでん交通の5つしか存在しない。

営業費の増加を招いている要因の一つは運転費の比率の高さにある。主に運転士の人件費から構成される運転費の割合は、路面電車のように輸送力が小さいと上昇しがちだ。路面電車のなかで運転費の比率が最も高い鹿児島市交通局の場合、運転士の人件費は8億1567万6000円であり、運転費全体の90.7パーセント、営業費全体の49.9パーセントにも達する。

輸送力を高められない理由

輸送力を上げるには複数の車両を連結して運転すればよい。しかし、路面電車の場合、連結した車両の全長を30メートル以内としなければならないという決まりがあるし、停留場その他の設備上の理由からなかなか困難だ。

運転費を下げるには新交通システムのような無人運転の導入も考えられる。しかし、自動車の自動運転もまだ実用化されていない現時点では無理であろう。輸送力を上げるにしろ、無人運転を実施するにしろ、路面電車の営業収支を向上させるには、道路上での走行をあきらめるほかない。

いま輸送力という言葉が登場したので、路面電車の輸送力についても検証してみよう。輸送力を比較する際に役立つ指針は表1でも用いた旅客輸送密度だ。

路面電車全体の旅客輸送密度は8230人であり、新交通システムの2万3533人、モノレールの3万1769人よりも少ない。新交通システムやモノレールでは営業利益を得られないとか、建設費を償却できないと見込まれたところが路面電車として存続を許されたのだと言える。

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