鈴木幸一の文明漂論 鈴木幸一著

鈴木幸一の文明漂論 鈴木幸一著

IIJの創業社長が日経の電子版に書きつづったコラム81編。創業時の苦労話が何度も出てくるのもブログならでは。商用ネット接続の草分けとして当初、官庁や金融機関の理解を得られなかった苦境を乗り越えて事業を成功させた今だからこそ語られる話だ。一方でインターネットの明と暗、可能性と怖さについての考察はさすがだし、旧メディアがネットによって本質的転換、正確には消滅を余儀なくされるとか、ネットの可能性は無限との主張には説得力がある。

折々の事件や事象、旅、世界から見た日本、そして身辺雑記といった話題は気楽に楽しめるようでいて、重い指摘が随所にある。東京・春・音楽祭を主宰するほどに入れ込んでいる音楽談義、とりわけ海外音楽家との交遊は驚くほど広く深い。離れがたい酒とたばこに音楽と読書、そこへ未踏の分野を切り開いてきた実績に基づくネット論議と社会時評が重なる、含蓄に富むエッセー集である。(純)

日本経済新聞出版社 1995円

  

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銀行 地殻変動<br>先で待つ「不良債権地獄」の恐怖

コロナ危機を受け、銀行は政府の支援の下、積極的に「傘」を差し出し、融資をしています。しかし融資先には「危ない企業」も含まれ、下手をすれば不良債権によって屋台骨を揺るがしかねません。自ら大きく変わり始めた銀行の近未来を占います。