「強い職場」に共通する30代の活かし方[第4回]--30代が活躍する、若手・中堅社員がすごい会社
実際に受講者に会ってみると、組織をよりよくしたいという純粋な思いを持っている人は多い。確かに、心が燃えているわけではないが、まじめに頑張ろうとしている社員の姿があった。育成プログラムにおいて、一緒に時間を過ごしているうちに見えてきたのは、計画力のなさであった。
たとえば、グループで活動する内容を決める際にも、締め切りを区切ることがない。役割も明確にしない。何となく、やらなければいけないこととして取り上げるものの、いつ、誰が、どうするかまで落とし込まないのだ。アクションプランを立てても、達成基準を明確にしたプランが立てられることはない。
この計画力がないことは、自分たちでは気づけていない。なぜなら、それが当たり前になっているからだ。明確な計画を立てなくても、誰も指摘をしないし、指導もしない。このように計画力が決定的に欠けている組織だから、経営者が号令をかけても、何も実行されない組織になっていたのだ。
プログラムの終了後に、プログラムを通じて経営者に報告したところ、手を打つべき、真の組織課題は「やる気」ではなく、「明確な目標と計画を立てる」ことだということになった。明確な目標と計画を立てて実行していく過程を通じて、人のやる気を引き出すのだ。このような企業において、いくら経営者が「やる気を出せ!」と叫んでも組織課題が解決されることはない。厳しく接していけばいくほど、社員の心は離れていく。
この組織においては、まずは、30代社員が育成プログラムで立てたアクションプランを具体化することから始められた。もともとまじめな社員が多かった企業である。決められたルールや、約束は守ろうとする意識が高い組織である。アクションさえ明確になることで、行動につながる人がどんどん出てきた。
縦(上司)のサポートや、横(仲間)のサポート、外(外部)のサポートを得ながら、立てたアクションを確実にやりきることを通じて、中堅社員に「やればできる」という自信が芽生えてきた。結果的に一人ひとりの心に火が灯ってきたのだ。