「安さ競争」から「価値競争」へ。KDDI、既存ユーザーへの値上げと料金に応じた通信品質の差別化を導入
KDDIは値上げと引き換えに、3つの通信機能を既存プランに"標準装備"する。
まず「au Starlink Direct」は低軌道衛星とスマホを直接つなぐサービスだ。イーロン・マスク氏率いるSpaceX社の衛星網を活用。山岳地帯や離島、海上など従来の基地局電波が届かない場所でもテキストメッセージの送受信や位置情報共有が可能になる。これまで圏外だった日本全土をほぼカバーし「空が見えれば、どこでもつながる」。特にアウトドア活動や災害時の安否確認手段として訴求している。
(関連記事:低軌道衛星とスマホが直接通信、KDDIが面積カバー率100%に挑む「au Starlink Direct」とは)

次に「au 5G Fast Lane」は、混雑時でも特定ユーザーに優先的に通信リソースを割り当てる技術を採用。駅や商業施設、イベント会場など多くの人が集まる場所で通信速度が落ちやすい状況でも、より快適な接続を実現する。山手線内での社内トライアルでは通常の1.8倍、大阪・関西万博会場では2.2倍の速度向上を確認したという。
さらに「au海外放題」は、1カ月当たり15日分の海外データローミングが無料になるサービス。通常は1日当たり1200円かかるところ、月に15日分(最大1.8万円相当)が無料になる計算だ。対象は160カ国以上で、海外でのSNS利用やナビゲーション、テザリングによるPC・タブレット接続も容量無制限で利用可能。海外出張や旅行の多いビジネスパーソンには実質的な値下げ効果をもたらす。

これら3つの通信サービスに加え、エンタメやAIサービスの月額料金に対して最大20%のPontaポイント還元が受けられる「サブスクぷらすポイント」も強化。新プラン「auバリューリンクプラン」にはローソンでのお買い物がお得になる「Pontaパス」も含まれている。
料金に応じた通信品質の差別化という異例
「au 5G Fast Lane」の導入は、通信業界の常識を覆す2つ目の異例だ。これまで日本の携帯キャリアは、本ブランド(au)とサブブランド(UQモバイル)の間でも「理論上の最大速度は同じ」という建前を維持してきた。通信料金の差は付帯サービスやデータ容量、サポート体制の違いによるもので、通信品質そのものには差をつけないというのが業界の不文律だった。
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