フジテレビが《最もクリーンなメディア》になる? 「楽しくなければテレビじゃない」脱却宣言と「アナウンス室の独立」が示す“苦しすぎる事情”

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もし芸能人以上に人気のアナウンサーや、局のイメージアップに大きく貢献するアナウンサーなどがいなくなるとしたら、「ビジネスとして正解なのか」は意見が分かれるところでしょう。

もともとアナウンサーは、「テレビ局の社員でありながら番組出演する有名人」という特殊なポジション。社員の中でも特に専門技術が必要であるうえに、公私ともに「常に見られている」「メディアから追いかけられる」などのストレスやリスクがあります。

今回フジテレビは、SNS、誹謗中傷、メンタルケアの対策強化を発表しました。

中でも「メンタルケア体制はアナウンス室のために別途構築する」というだけに、今後はそのストレスやリスクを理解・配慮されるようになっていくことが期待されます。これが進めば、フジテレビはアナウンサーにとって最も働きやすいテレビ局になるのかもしれません。

また、アナウンサーはテレビ局の中で特殊なポジションだけに、できれば人事異動に関する理解・配慮もほしいところ。アナウンサーの中には、他部署への異動を快く受け入れる人と、悩み退職を考える人の両方がいるだけに、この点でも中立な第三者の存在が必要ではないでしょうか。

慎重にならざるをえない制作現場

次に「『楽しくなければテレビじゃない』からの脱却」には、どんな意味があるのか。

この「楽しくなければテレビじゃない」というフレーズは1980年代に掲げられたもので、フジテレビが次々にヒットバラエティを生み出し、視聴率レーストップに君臨するきっかけになりました。さらに2022年に港浩一前社長が就任して以降、「このフレーズをもう一度口にして進化させることでバラエティのテコ入れを図ってきた」という経緯があります。

フジテレビは今回公表した書面に、「放送法の原点に立ち返り、公共性をもって社会に貢献できる企業となり、社会の公器としての役割を果たします」「『リブランディング』では中堅若手の声を吸い上げ、内外のステークホルダーとの対話を通じ企業理念を見直します。策定プロセスも、視聴者・国民の皆様へ詳細に発信します」などとつづっていました。

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