今回の急落相場の終了確認は、まだ先のこと 買われ過ぎ感が強く、上昇しにくい状況
株式市場では、コモディティ価格の上昇を歓迎する声が聞かれる。これまでは消費を促す原油安が歓迎されていたが、資源価格下落で資源関連株の下げが顕著になると、今度は一転して原油安を悪材料視するのだから、ずいぶん勝手なものである。
さて、世界の株価指数をコモディティ価格で割ったレシオを見ると、両者の相対的な強弱感がほぼ4年ごとに入れ替わっていることが確認できる。直近では、2011年9月に金価格がピークをつけその後下落に転じた。株価は欧州債務危機を嫌気して下落していたが、金価格が下落に転じると同時に底値を確認し、そのまま長期上昇基調に入った。
現在は2011年9月の底値から4年が経ち、主従交代のタイミングにある。つまり、株価の相対的な上値の重さが意識される一方、コモディティが優位な位置づけになることが想定されるのだ。コモディティには4年ごとに上昇するサイクルがあることを筆者は発見し、上昇タイミングを指摘してきた。来年はその上昇しやすい年に相当する。
CRB指数が200ポイントを明確に超えてくれば、市場の関心は高まるだろう。もっとも、投資家がこのようなサイクルを認識し、資金をコモディティに振り向けない限り上昇しないだろうが、為替相場の動向次第では、コモディティ価格の上昇がより鮮明になる可能性はある。
昨夏以降のコモディティ価格下落の背景にはドル高の影響があった。またFRBや日銀、ECB がインフレ率の引き上げをもくろんだものの失敗に終わったのは、原油市場へ直接的に介入できなかったためである。金融当局者がドル安に向かうような政策を導入すれば、原油や金などのコモディティ価格が上昇し、インフレ率の押し上げにつながる可能性がある。
日本株は慌てて動く必要はない
先に述べたように、コモディティ価格の上昇が歓迎されるのは、株価低迷の一因だった資源関連株の上昇が促され、主要株価指数の押し上げにつながるからである。ただその場合でも、株価をコモディティで割ったレシオの低下リスク、すなわち株価の相対的な弱さは顕著になるはずだ。レシオは一方向のみで動くわけではないため反発もあるだろうが、当面は上値の重い展開が想定される。
さて日本株だが、世界の株式市場の上値が重くなれば、日本株だけが難を逃れるとわけにはいかない。日経平均株価は25日移動平均線を超え上昇への期待が高まっている。しかし、今回の急落相場の終了確認まで道のりは長い。短期的な買われ過ぎ感が強いため、目先は上値が重くなりやすい。
ちなみに、騰落レシオの6日平均は290%まで上昇するなど過熱感はきわめて強く、いつ急落してもおかしくない。下期の企業業績に対する不透明感も残っており、慌てて動く必要はないだろう。新規投資は直近高値から安値までの半値水準である1万8930円や、8月28日の戻り高値である1万9192円超えを確認するか、あるいは黒田バズーカ第2弾の発射前に開けた窓である1万5701円を埋める下げを待ってからでも遅くない。今後1週間の日経平均株価の予想レンジは、1万7750円~1万8950円としたい。
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